舞台「管理人 THE CARETAKER」11/26.27マチネ公演を観劇しました。
1週間ぶりに観ると、台詞は変わっていないのに変化しているところがたくさんあって、芝居を観ることの楽しさを体感できました。
11/26のレポ的なもの
・デーヴィスの缶を仕舞ってまた取り出すところが今回は秒速だった。全体的にテンポが早かった気がする?
・デーヴィスが前に見た時より元気な印象!ゆったりもったりしていた動きが若干チャキチャキしていたような
・カバン投げの時にミックの髪が一束ぺろんと乱れたんだけど、下手側を向いてまた上手側に向き直る時に首をぐいんってしてノーハンドで髪を整えていた。そしてその後手で髪を撫でつけていた。
・ミックが「壁に回転式の棚を作る」と言う時に「床」から入ってしまい、「床……あ、壁…!壁に回転式の棚を作る!」ってその場で思いついた感じに言い直していた。さすがのリカバリー力…!
・最後のほうのミックはずっと革ジャンの後ろがぺろんとめくれていて可愛かった
・大仏は噂通り3個に弾けていた
・笑いが起きる回数が比較的控えめだった気がするけど、一発がデカくて楽しかった。特にカバン投げ!
11/27のレポ的なもの
・ミックがデーヴィスを襲おうと後ろから詰め寄るシーン。だるまさんがころんだになった時、止まったのが足を閉じ気味のタイミングだったがためにちょっとヨロけていて可愛かった。
・デーヴィスがポケットからマッチかナイフを取り出した時にコインが床に落ちてしまったんだけど、その後のシーンや暗転を経て、ミックが話しながらさりげなくコインを拾い上げていてグッときた。舞台役者…。もうあのコイン拾うタイミングなさそうだから最後までそのままいくのかなと思ってた……。
・ミックの宮殿の話の最後が確か「ランプ」で終わりだったと思うんだけど、甘噛みして「ランph…」になってて可愛かった
・ミックが下手側から移動してくる時に木箱の横に置いてあった黒いライト(?)にちょっと躓いてた
・アストンがテーブル(木箱?)にマッチ置いたら落ちちゃって、立ち上がって拾い上げてたの好きだった
・掃除機かける時に積み重ねてた木箱にドカンドカン掃除機ぶつけて山崩してたのおもしろ大胆で好き(これはいつもかな?)
・ズボンが片方ブーツインになってておしゃれになっちゃうミック
個人的好きシーン
・ミックが暗がりでマッチ箱を探すシーン。足でちょんちょんちょんってマッチ箱探して、探し当てたらしゃがんでサクッと拾い上げるところがとても好き。
・デーヴィスが大きい缶を開けて「ネジ!」って言うところ。言い方が面白くて大好きなんだけど周り誰も笑ってないからいつも我慢してる。
・ミックがデーヴィスの前で鍵をチャッてするところ。(※空中に軽く放って素早くつかむ)
マジシャンみたいで好き。
・アストンが片付けする時結構雑なところ。でもジャケットはちゃんとハンガーにかけるところ。
・ゔーっ!って威嚇するミック。猫?ライオン?
・ミックの威嚇にちゃんとやられるデーヴィス。ビームでも出てるんか…
・ミックの契約の話のところの「ダブルチェック!」で急にCM度がめちゃめちゃ上がるところ。テレビCMみたいで大好き。
・ミックがアストンの弟と判明した時にデーヴィスが放つ「え」
・丸めた絨毯を枕にして寝転がるミック。青春大学生みたいで好き。(青春大学生?)
感想とか
11/26に書いた分↓
・初めて冒頭のミックが何をしているのかに注目した。(いつもミックが"居る"ことに感動して物語を観るモードになれていなかったんですね)暗い部屋でガラクタを見回し、アストンに想いを馳せていて、兄のことをとても気にかけているんだなというのがよく分かる。アストンのどうにもならなさとの葛藤、そのことを受け入れて自分は彼に寄り添うんだという意志を感じた。でもアストンが帰ってくる音がしたら退散するのは、なんでだろう?恥ずかしいから…?(絶対そんな軽い話ではない)
・冒頭のアストンのお片付けを観ていると、物を溜め込む割には雑に扱ったり、とりあえず邪魔なものをぽいぽーいって退かしていることに気づいて意外だった。きちんとしていそうなのに。アストン、お掃除とお片付け好きだけど苦手そうだなと思った。やってるつもりなのに周りから「できてない」と言われるあれ。2週に1回の掃除とても少ないなと思ったけど、ミックはアストンの掃除後の部屋(アストンが片付けたつもりだけど逆に散らかってる)を修復する作業に徹しているのかもしれないなと思った。仕事で遅くなっても部屋に来て掃除しているミックえらい。
・アストンの独白を聞いて、こんなに酷いことをされるのにお母さんはなんで書類にサインをしたんだろうとずっと思ってた。けど「治す方法は1つしかない」と言われたら、藁にもすがる思いでサインをしてしまうかもしれないと思った。そもそもアストンに治療が必要だったのかは分からないけれど。
情報はネット以外から得る時代。しかも比較的貧しい暮らしをしていたなら最先端の情報なんて手に入らなかったと思うから、医者から言われた「治す方法は一つしかない」は魔法の言葉に思えたのかもしれない。
(そもそも貧しい暮らしをしていたのかな?あの部屋を見ると貧しそうに見えるけど、あの部屋がいつからボロボロなのかは分からないし、アストンの治療費を工面したために貧乏になったのかもしれない)
そしてミックにとってアストンは「病院から帰ってきたら前と様子が変わっていたお兄ちゃん」になるわけだから、そりゃ気にかけるし心配するよな……と思った。病院から帰ってきたら元気になると思っていたら様子が変わっているの悲しすぎる。
11/27に書いた分↓
・アストンの言う「拾ってきた」
最初はアストンのことをガラクタばっかり拾ってきてどうしようもない人だなぁと思っていたけど、どこかのシーンを観て「デーヴィスのことが放っておけないから連れてきた」というニュアンスをとても感じた(どのシーンどの台詞かは忘れてしまったが…)
あっ、ミックがデーヴィスに「あんた友達だろ?」って言ったところかも…!そのシーンで、拾われてきたデーヴィスがアストンの友達なのか…と思って…。
デーヴィスも拾われてきたガラクタと考えると、アストンは拾ってきた物に対しても「可哀想」であったり「救いたい」であったり、何か手を差し伸べたいと思っているのかなと感じて。私たちには部屋にある物がただのガラクタにしか見えなくても、アストンにとっては救ってあげた友達の1人で、デーヴィス含むガラクタはたぶん全部友達なんだな……と思いました。言葉では「鉄屑」とか言っているミックも、心では部屋のガラクタたちがアストンにとっての何なのか、理解しているのかもしれないなと思いました。アストンの「拾ってきた」は「救ってきた」なのかもしれない。
・ミックがアストンのことを「仕事が嫌い」と言うのが意外だった。アストンの話の中の、手仕事が好きで小屋を作りたいと言っているのが印象的だったからだと思う。
でも、アストンの独白の中の「もう人には会わない」的な「人の集まるところには行かない」的な話を聞いて、ミックの言う「仕事が嫌い」というのは「定職に就いてくれない・コミュニティに属してくれない」ということか〜と納得がいった。そういえばミックも「もっと社会に目を向けてほしい」も言っていたし。
・ミックの「家具付きの家と見るか家具なしの家と見るか」というセリフを聞いて「家具」の中に「アストン」も入っているのかと思った。けど話の文脈的に違う気がした。
質感が好きな映像作品がいくつかあるのですが(オールドファッションカップケーキとか)この舞台もそのうちのひとつだなと思いました。小道具とか照明とかサイズ感とか、画面を通して見ているわけではないけど質感が好きです。
終わり方がふわっとしてるけど、私はあの感じ好きです。きっとあの3人はまた元に戻って、今まで通りの変わらない日々を過ごすことになるんだろうなと思わせるラスト。映画のフィルムの途中をバツンと切り取ってきたようで好きです。
この舞台は点と点が繋がって線になる瞬間がたくさんある舞台だなと思いました。分からなかった言葉が、その後の発言を聞いて「あっそういうこと…かも?」と繋がる瞬間がとても楽しい。
会話はちぐはぐだけど、1人が主張していることは一貫しているからきちんと点と点が繋がるんだなぁ……。
分からないことはたくさんあるけどイライラしないのってすごいことだなと思います。キャラクターそれぞれ人格がブレることがないし、行動原理に本気で「なんで!?」って思うことがないからかな。
全員、絶妙なにどうしようもない人物だけど、誰にも迷惑はかけてない……と言うと語弊があるか…。誰も誰かを傷つけてはいない…(ミックの言葉は強いが…)からストレス少なく観られるのかなと思いました。
分からないことに対して「何でだよ(イラッ)」になるんじゃなくて「分からないからあの話をもう一回聞きたいな」と探求心が生まれるところが私的この舞台の好きなところです。
兵庫公演もたのしみ!
おわり