ででの日記

好きな話は何度したっていいもんね

新ハムレット〜太宰治、シェイクスピアを乗っ取る!?〜6/6初日公演を観劇しました

渋谷PARCO入り口の彩度バキバキどデカサイネージ、最高

「新ハムレット太宰治シェイクスピアを乗っ取る!?〜」

2023年6月6日、初日開幕おめでとうございます!!

お花もありましたね、すごい…!舞台でフラスタある作品、私は初めて見ました!

次の木村達成さん出演作、スリル・ミーからも!写真集などでお世話になってる出版社さんからも!オールドファッションカップケーキの円盤発売してた会社(?)バップさんからも…!ラジオからも!すごいすごい…。祝われているのは私ではないのに、勝手に嬉しかった。好きな人がこうして沢山の人に愛され祝われているのを見ると嬉しくなりますね。

たくさんのお花と入り口のサイネージのしゃしん

チルダ千穐楽との間、たった1日。私はこんなに幸せな気持ちで、観劇後の時間を過ごしていいんでしょうか。

舞台作品としての全体的な満足感、素晴らしい生のお芝居と人間のやりとりを観ることができた充実感、そして主演の木村達成さんのたくさんの表情・声色・佇まいを観ることができた多幸感。しあわせいっぱいです。すごくすごく面白かった。interestingだったしfunnyだった!

1幕終わりも2幕終わりも、とにかく「おもしろかった!すごかった!」の気持ちでいっぱいで、胸の高鳴りと顔の綻びが止まりませんでした。1幕はおもしろかったし、2幕はすごかったって感じです。

 

初日の前日にゲネプロ取材レポが流れてきて、衣装の写真が流れてきました。デザイン画の時点ではシークレットだったハムレットの衣装もお披露目されていましたね。そしてびっくりしましたね、ジャージでね、だるだるでね。なんかちょっとニートっぽくてね。ハムレットの衣装だけ奇抜なのかと思いきや、全体のバランスを見た時に1人だけ現代すぎて浮いてる意味でのシークレットだったんですね。おもしろすぎる。そんなことあるんだ。

ラップがあって現代衣装でスマホを持ってて…という前情報だけ聞いて、大丈夫かな…!?と首を傾げましたが、杞憂でした!衣装変とか言ってごめんなさい、本当に。

すごくすごく面白かったです。この興奮忘れたくないので初見の感想全部書く(池の水全部抜く)

はじめましてのPARCO劇場

はじめて足を踏み入れましたPARCO劇場!こんなおしゃれカルチャービルの中に劇場があったとは。すごくきれい~!通路より後方で観劇しましたが観やすかったです。でも前の人の頭はちょっとかぶるかなぁ…。カフェコーナーも早く体験したい。お店いっぱいあるけど21:30終演は結構難易度高いですね。

あと入口手前(エレベーター横)のお手洗いに入ったんですけど、扉がピカピカの木目調で綺麗すぎて自分の姿が若干映るのが恥ずかしくてウケました。

達成さんを知ってから早一年ですが、ずっとはじめましてな劇場なきがします。すごい。たくさんの世界を知るきっかけをありがとうございます。

むずかしさ

本家のハムレットも新ハムレットもストーリーは予習せずに観劇しました。(私は耳からの情報を処理するのが苦手なこともあり)たぶんストーリーの数割は理解できてないし、置いてかれてたんですけど、一応ストーリーの輪郭は掴めたかなという感じです!ところどころ「何でこうなってるんだっけ…」となったり「ちょっとよく分からんな…」となりましたが、その状況すら面白かったです。登場人物各々のまどろっこしい会話に呑み込まれていくうちに、ぱや~っと脳みそが溶けていくようでした。全員まともで全員カオス。

本を読んで漢字を通してセリフを見たら、より各場面の内容が理解できるかなと感じました。でもやっぱり会話の密度がすごい、現代人が「やばい」「すごい」と言っている間に新ハムレットの住人は30行くらい喋ってる。言葉を使える人ってかっこいいな…。

セリフは口語と文語が入り交ざっていて、言い回しも回りくどいけど、語り口に人間味があってノリや動きは現代の人間に通ずるものがあったので、意外と理解できるなぁと思いました。

舞台セット好き~!

まず劇場入ったときに、舞台上の奥行きにびっくりしました。そして「舞台が斜めってそういうこと!?」と驚いた。八百屋舞台とかそういう次元じゃなかった。あと「今すぐ走り出しそうなセットだな……」と思いました(※陸上競技のトラック的な意味で)

たぶん椅子が前傾姿勢で座る角度になっていると思うんだけど、あそこに涼しい顔をして座りハムレットたちの朗読劇を観るクローヂヤスとガーツルードの体幹がすごい……。

そして終盤の赤い玉が落ちてくる演出!大好き!!!!!!赤い血がぽたぽたと滴るような、じわじわと広がっていくような、不穏な空気が徐々に広がっていく感じがとても大好きです。あの玉っころ、落ちるときにピンポン玉みたいな音してたけど、ちゃんと坂道で止まってたんだよね…どういう物理法則…?かと思いきやハムレットがぽーんと蹴ったりもして。おもしろーーい!!!!(もしかして坂道の手前側は坂じゃなくて平面なのかも)

シンプルだけど斬新で奇抜で、でも変ではない舞台セット、素敵でした。

個人的には舞台上にある階段がすきです。ハムレットがよくゴロゴロしてた下手側ではハムレットが階段にうつ伏せになって這い上がるような姿勢で上を見上げたり、舞台真ん中らへんにある階段(の壁)では、ハムレットが絶望したときに寄りかかったり。セットの転換が殆どないけど、セットの色んな場所を使って色んな感情が表現されていたのがとてもとても好きです。

 

始まり方が好きすぎる

いや最高すぎるじゃん?歩いてきたハムレットが「だりぃ〜」って感じを醸し出しつつ、妙に必死にスマホいじいじしているの、愛おしい。そしてアナウンスの「携帯電話の電源はお切りください…」をガン無視しているハムレット。それを咎めるポローニヤス。すでに面白い、最高。個人的にはあそこでハムレットが持っているどピンクのモノ=スマホって教えてくれるのが親切だなと思いました。劇場のキャパ的に観えないこともないけど、完全に前情報なしで行ったら呑み込むまでに時間がかかるだろうし、スマホ使わない世代の観客にもきちんと伝わるよねと思いました。ポローニヤスの喋りをぶった斬ってはしがきが始まるの、最高でした。(この流れだったよね確か)

はしがき、喋ろうとして他の人に遮られてしまうハムレットが「はぁ…」ってなってるのが好きです。ハムレット、これから先が思いやられるね、がんばろうね。

衣装最高!

一旦ハムレットの衣装の話していい?

ハムレットだけダル着なのどういうこと~!?って最初は思ったけど、とにかく木村達成さんの着こなしがファッション誌のそれでとてもとても素敵でした。

家系ごとに色が別れていたり、背中に柄が描かれているのが印象的。あとみんな布が長い。踏まないで。(そう、ハムレットのズボンの裾がすごく長いから「踏まないで…」って心配してたんですけど、あれサンダルの靴底に裾がくっついてるっぽかったですよね…!!絶対に踏まない脱げない安心仕様!よかったー。)

→よく見たら全然嘘でした、すみません。これからも踏まないように気をつけてねハムレット

ポロー二ヤス一家

みどりいろ可愛い…!!ポロー二ヤスの靴下がしましまなのが可愛かったです。ポロー二ヤスが割烹着着ていたの、妙な親近感があって好きでした。ジャケットの背中に和柄が入ってるのアイドルみたいで可愛い。

レヤチーズは胸につけてる名前の布(あれなんていう名前なの、名札?)がとても軍人ぽくて、ゾワッとしました。少し早口で厳格な喋り方が余計に…。

オフィーリヤの衣装、良い意味でアイドルっぽくて可愛かった!!髪型もくりんくりんのツインテールでみどりのインナーカラーだし、背中にはハートだし!かわいいなぁ…ぱるる、さすがの着こなしでした…。キュートな印象の衣装にぱるるのきゅるんとツンとした声が合わさって、とっても愛らしいオフィーリヤだな~と思いました。そんなオフィーリヤがちょっと毒づいたことを話すとギャップが際立っていいよね…!

ホレーショー

半パンかわいい!!!!!くつしたもかわいい!ボタンもかわいい!!なんか、ホレーショーもオフィーリヤもハムレットもみんなすごく似合うよね…(キャラクターは置いといて)その役者だから着こなせるよねってラインの一番攻めてるところを切り取った衣装だなと思いました。素敵すぎる~!

ハムレット家(その括り方で合ってる?)

赤を貴重とした貴族のお洋服。背中の赤丸の刺繍から糸が垂れているのが少し不気味で印象的でした。ところどころ、誇張された日本というか思想を感じて、貴族の圧力を感じました。

ガーツルードの靴がピンヒールであることに途中で気づいてびっくり!あの裾の長い服だったらあんまり見えないのに、ピンヒール。あの坂道の舞台をピンヒールで歩いてらっしゃったのがすごすぎる…。途中でピンヒールを脱いで舞台の真ん中辺りに置いていたのが印象的でした。

クローヂヤスは上着の丈が短くて可愛い(?)

そしてハムレットはピンクのダル着。よく見るとふかふかで着心地が良さそう…。一人だけ現代で度肝を抜かれましたが、不思議と変じゃないなぁと思いました。なんでだろ。着こなしの妙?

ハムレットの衣装がピンクなの、赤色の手前の色という感じで好きです。ハムレット家の王子として生まれたけど、まだ全然未熟な感じというか…。あと背中の赤丸から糸が垂れている刺繍。ガーツルードとクローヂヤスは完全体だけど、ハムレットはボロボロなのがとても印象的でした。うーん、ハムレットのささくれてやさぐれて傷ついた心を表しているようにも見えるし、ハムレット家の王子としての不完全さを表しているようにも見えました。あのボロボロに垂れている糸がもっと長くなってきっちり編まれた時、ハムレットは立派な王子になるのかなと思ったり、思わなかったり。

そして「ハムレットだけ現代」を全編通して貫いているのがとても好き。他の登場人物は現代的なものにほとんど干渉していなくてよかった。現代衣装を着せてスマホを持たせたら、もっと現代的なセリフを言わせたくなりそうなものなのに一貫して太宰の言葉を話しているのが、ハムレットを少し賢く、少し幼く、飄々としながらも誰にも心を開いていない人間に見せているのかなと感じました。

一人だけ現代衣装なハムレットは全体のバランスを見たらすごく浮いているけど、それが一人で悩み苦しんでいる孤独感を表しているようでとても好きです。あと、ふわふわフラフラ1人で漂っている感じが強調されていて、ハムレットの忙しない心を感じます。

個人的に意外だなと思ったのは、ハムレットが思い悩む事柄の内容。もっと地位とか権力とか、王子様っぽいことで悩むんだと思ってたんですけど、ハムレットの悩みはただ家族のこと、実の父親のこと、恋人のこと(これは少し立場の話もあるか)。国的には先王が亡くなった、新しい王が着任した、などドでかい事柄が動いているのに対して、ハムレットの悩みは「家族」という世間的に観たら小さなスケールの事柄だったのが、ハムレットの衣装の浮き方と合わさってとても滑稽で寂しくて、ひとりよがりに見えました。

好きだったところおぼえがき

序盤は、「ハムレットは王子だけど家族の中ではダメな息子として扱われているの…?王子ってどういうポジションの人だっけ…ジャージだし…」という感じで、ハムレットの家族間での地位が、私にはいまいちピンときませんでした。でも、ホレーショーとハムレットが会うシーンで、ホレーショーが敬った態度を取っていたら「いつものように呼べ」と言われているやりとりを見て「あ、ハムレットってちゃんと高貴な身分の人なんだ」と気づけました。ホレーショーを通して、ハムレットの世間的な位置づけがくっきり浮かび上がた瞬間がよかったです。

 

ラップ入ってる箇所が天才

ライティングがピンクでバキバキになって、現代っぽい音楽がなり始めた瞬間「きたきたきた~!絶対ラップくる!」ってテンション上がりました!すごく自然だった…!ただラップパートがドンと置かれてるんじゃなくて、ハムレットが手書きのカンペを読んでぶつぶつ練習してるところから入って歌が始まるのがすごく自然で大好きになっちゃった。しかもハンドマイクの音量が爆音で最高。私は達成さんの舞台を観るたびに「声でっけーーーー最高~~~~」と思っているのですが、ハムRap爆音で最高でした。いや全編通して声でっかくて最高です。

ラップ、達成さんの滑舌が遺憾なく発揮されていて最高でした。かっこよかった。

あとラップが始まる時にポロー二ヤスが木箱をDJみたいに…DJみたいに?肩に担いで出てくるのが凄くツボですごく好きでした。最高。ラップ終わってラジオに脚ダンしてポーズ取ってるのも好き。

あと天井から吊るされてる柱を見て「ピンクにも光るんかーい」と心のなかで笑ってしまった。

朗読劇パート好き!

朗読劇パート、全員の個性爆発で好きでした。ポロー二ヤスはノリノリすぎて最高だし。ホレーショーもノリノリで最高だし。発声がどうの~ってくだりでめちゃ良い声で声出ししてて笑いました。あと挨拶を任されて「ぼくはぁ~」って始まるのも好き。ホレーショの一語一句すべてがツボ。

ハムレットの「やる気ないです、やらされてます感」めっちゃ好き。かと思いきや「観客が酔っ払い劇団だと思っています」と真面目風を吹かせているのも好き。ハムレットはまじめで育ちが良いんだよね。

あと、ハムレットの亡霊があの3人の中で悪役ゆえ、声色にトランチブル校長を感じる瞬間がありました。

 

ふふって笑ったところ

何回目かの暗点で、星空の場面になるところ

星が上から降りてきて、良い感じの音楽が鳴るのが綺麗で好きでした。そして「わぁ〜オファーリヤとハムレットのシーンが来るのかなぁ~ロマンチックだな~」と思っていたらハムレットとホレーショー(しかも初登場)で、思わず「お前かーーーーい!!」と笑ってしまいました。大好きすぎる。

ハムレットがポローニヤスとお話するシーン

ポローニヤスが急に出てきて驚かせてしまうことでハムレットは「わぁ!びっくりした~~!」ってなるんだけど、その時に滑っちゃって床をスーッてなってるのが好きでした。

このあとのホレーショがー合流してからのシーン、やんちゃな若者のノリで大好き。プロレス始めるし、やられるホレーショーの顔芸がすごいしプロレス終わったあとのハムレットのポーズがすごい。カオスすぎ。なんか、舞台上であんな元気な達成さんを観たのは初めてで嬉しくなりました!!!!

ハムレットがオフィーリヤとお話するシーン

唯一のふんわりなごやかシーン。ハムレットの優しい表情が好きでした。初見、多分この辺で脳のキャパが終りを迎えた。

 

ときめき仕草

ハムレット、一挙手一投足すべて可愛かったのですが………たすけて…。やさぐれてたり拗ねてたりするのが可愛かったし、気だるげだったり尖ってるのがかっこよかったし、絶望して膝落ちしている姿は大変に魅力的でした。この世の木村達成全部盛り!?????ありがとうございます、ありがとうございます。

 

まずハムレットが着ている外套が大好きです。あの形が好きすぎる。なんとなく大正ロマンを感じます(本当か?)

ジャージのフードを被ってから外套を羽織る仕草も好きですし、自分を落ち着かせるために前を合わせて布にくるまっているのも好きでした。布にくるまって安心したいのかなハムレット。かと思いきや脱いで畳んで枕にしていたのも好き。あとホレーショーにちゃんと貸してたのも好き。ハムレットとホレーショーの身長差ゆえ、着丈が変わるのも好き。

でも全編とおして一番好きだった仕草は、朗読劇の巻物をシャッって開くところです!!!!!!かっこい~~~!!!!なにあれ~~!

 

あとはだるだるスマホゲームしているところもサマになっているし絶望しててもサマになっているし、体育座りをしたり「堕落してしまった…」と派手に落ち込んだり、何してても可愛いなと思いました。愛おしいねぇ…。

あとホレーショーから噂を聞いたあとにうさぎさんなオフィーリヤを見てめちゃめちゃ王の名前読んでたところ好き。めっちゃ信じるやん噂。

スタンドマイクが絶妙に低いのも好き。

 

そのた考えたこと

モチーフ

ハムレット一家の背中や朗読劇の巻物、国旗、落ちてくる玉、血を流したときの布。色んなところに丸のモチーフが出てくるのが印象的でした!特にそこから広げられる考察はない。

おわりかた

最後の戦争が始まるシーン。クローヂヤスの背中の丸が太陽っぽくなっててウワ~~…となりました。ハムレットも「忘れていた」と言っていたけど、都合の悪い問題を戦争という大きな問題をつかって有耶無耶にする感じが…とても現代でとても嫌~~~な気持ちが沸き起こってきました。あのじわ~っとぞわ~っとする感じ。

赤い玉がたくさん落ちてきたのも、これから人がたくさん死ぬんだなぁ…となったし、暗転してからも玉が落ちてくる音だけ響いているのが不気味でした。

でもハムレットがまっすぐ前を見据えて目に涙をためているところがすごくすごく良くて…この舞台の前半は等身大の思春期の青年って感じの演技だったのが、最後にはこの世界の苦しみ悲しみすべてを知ってしまったかのような絶望の演技に変わっていって「う、良いものを観た…………」になりました。達成さんこの舞台を選んでくれてありがとう……達成さんの作品選びが大好きです。どうか健やかにお過ごしください。

 

なんどもなんども観たくなる!まだ全然追い切れてないシーンもあるし、これからも楽しみ!笑いどころが多いから、大阪公演ノリが良いだろうなぁ楽しみだ!

 

初見の感想もっとあったようななかったような。後は違う日の感想に書くかな!

 

えー、なんかもう、こんな舞台を観ることができて私は幸せです。

 

おわり