ででの日記

好きな話は何度したっていいもんね

人生で初めてスリル・ミーを観た日

2023.09.29ソワレ

前田彼・木村私ペア

人生で初めてスリル・ミーを観劇しました!こんなにストーリー展開に殴られるのは初めてで、すごく貴重で大切な観劇体験でした。はじめましての前田公輝さんに怖がりつつもメロメロになりそうでしたし、木村達成さんのまた新しい一面を観ることができて本当に幸せでした。

考えたいこともたくさんあるけど、まずは初見の衝撃をメモしておかないと。スリルミー初見状態は貴重ですからね。

 

〇スリルミー事前知識

なんとなく「とにかくすごい」「観た人が虜になって大変なことになる」ということは知っていました。あと「観る人を選ぶくらい残虐」ということも。あ、あとTwitter流し見してて「足湯」も!笑

知ってたのはあと役名くらいかな。ずいぶん抽象的だなぁと思いました。

ネタバレ踏まずに観に行ってほしい!とアドバイスをいただいたので、とにかくTwitterを薄目で流し見してフォロワーさんの叫びを眺めていた感じでした。やっと観れたよー!

 

〇所感

まずストーリー展開にこんなに殴られたのは初めて!!親にストーリーの説明したら「よくあるやつね」とは言われたけど、まあそれはそうだけどやっぱり生で体感すると違うよね。しかも一気にガラッとひっくり返されはするんだけど、じわじわと「待ってそういうこと……?」と分かって行く感じが最高にゾクゾクしました。完全に『私』の手の内で転がされてしまったな…。

 

〇スリルミーという空間

もうそろそろ始まるな…という時間になった時の緊張感。物音がすごく響くから、音を立てないようにしないとと思って緊張しました。シアターウエストという狭さもあって、すごく閉塞感を感じて胸が詰まる感じがしました。

ピアノの1音が鳴ったと同時に落ちる照明、訪れる静寂。足元からガラガラと崩れ落ちていくようなピアノのメロディー。そして不気味に響き渡る"誰か"の足音。ここだけでもう満足感がすごかったしシンプルに怖くて帰りたかった。何かとんでもないものが始まってしまうんだという恐怖があった。

 

○舞台セット

シンプルな舞台セットの中で、光を使って色々な場面を表現しているのがすごく印象的だったし好きでした。

顔の光の当て方だったり、空間の切り取り方だったり、色の使い方だったり、変わるたびに「すごい!!!」ってなりました。なんだろう、光がすごくビビットで、シアターウエストの閉塞感のある暗闇とのコントラストがくっきりしていて、刺激的な空間でした。

ラストシーンの写真のところ、なるほど…!!!!!!!になった(あれが写真の表現なのか確信が持てず、終演後フォロワーさんに聞いた笑)

 

〇観ている時に感じていたこと

ここからは観ていて感じたこと書きます。こんなこと考えてるから聞き逃すんやで。

今回は後方の席だったし、とにかく全体を観よう体感しようという意識だったので彼と私の細かい表情までは観られてません。間違ったこと言ってたら許してくださいな。

 

・冒頭

ズッ…ズッ…という足音と覇気のない亡霊のような丸まった背中のフォルム。怖い怖い怖い誰誰誰。そしてうっすら付くライト、誰。あのもさっとしたフォルムの人、誰。顔にライトが付く、誰。喋り始める、誰。誰!???????知らない声の人おる。第一声が誰すぎて割と真剣に「どっち?」と思っていました。(※順番違ったらごめんなさい)

あっ木村達成さん…かな……………?と確信が持てないまま歌い始めてびっくりした…。歳を重ねて少し掠れた感じというか、監獄の中で生命力が削がれているのを感じる歌声でした。でも不思議と、内側には底知れぬ生命力がめちゃめちゃ宿っているんだろうなとも思った。内側に燃えるものはあるけど、長い服役期間と監獄という空間によって削がれてしまった生命力、という感じ。

 

・公園のシーン

暗転した時の捌ける速度が私が観た木村達成史上最速でニコニコしてしまったんだけど、ライトが付くとそこにはキラキラの目で空を見上げるうきうきバードウォッチング木村私が居てびっくり。誰!???????さっきの人は!??

体格までもがさっきとは打って変わって、スタイリッシュになっていた。すごい。もうプロの仕事に感動したし満足感がすごい。ぼくこの舞台に出る木村達成さんを観られて幸せ。

座った時の脚が余っててめちゃめちゃ長くて最高になったし、眼鏡をかける仕草が好きでした。君嘘の時から、達成さんがメガネを顔にかけにいくんじゃなくて顔から迎えに行くのが大好きなんだけど今回もそれで愛した。

そして登場した前田彼!スタイル良ッ。顔小さッ。なんかスヌーピーみたいでかわいい。(?)

そんで動きおもしろ。驚かせようとするために忍び寄る動きがアニメ。かわいい。『彼』ってこういうコミカルなキャラクターなのかも!(※5秒後に違うことが分かる)

『彼』が後ろから抱きつくわけですが、抱きつき方面白すぎない?男子校かよ。男子校知らないけど。なんでそんなちょっと胸揉むみたいな……そんなんだから『私』がおかしくなってしまうんだぞ。節操がなさすぎるぞ。

 

・『私』と『彼』の関係にびっくり

待ってー!!!!!!てっきり『私』が怖い人なんだと思ってた!!『彼』が怖い人で『彼』が主導権握っとるんか!びっくりしたな!!となった。え〜そうなのかそうなのか…「私』ってそんな…そう…。『私』可哀想可愛いね…(※まんまと騙されている序盤の感想)

 

前田『彼』の物音の立て方が、不機嫌さを使って人を支配しようとするムーブすぎて最悪だった。

 

・やさしい炎

これが噂の優しい炎!!!!怖がる『私』と興奮している『彼』……。

あんま覚えてないけど、両手を広げるところでぶわーっと歌声が広がっていったのが好きでした。

 

・血の契約

知らない間に契約を結んでいる!!と驚いた(とにかくついて行くのに精一杯)(ついていけてる?これ)

ここの曲めちゃめちゃ好き……。

タイプライターの音が直に聞こえたのも嬉しかった!!タイプライターへの浪漫を感じずにはいられない。『私』より『彼』の方がタイプライター打つの爆速で解釈一致だった。

 

・事件について

残虐なことは知ってたけど、ウワ〜ァァもう最悪ゥ…。ていうか全然高校生の頃から火付けてたんだびっくり。

弟をターゲットにしていたのに急に子供にしたの急すぎて分かんなかった!のでCD買って聞き返した!もしかして『彼』の思いつきですか…?え〜もう〜〜……

塩酸で顔溶かせば身元がバレないの最悪すぎる。なまじ頭が良いだけに…ウッ…。『私』が準備してきた塩酸が少ないせいで「もっと小さい子にしなきゃ」になるの最悪すぎてウワ〜〜ッって声出したくなった。その機転の効く頭、他に使え〜ッ!

てっきりわたしは、子供を後ろから殴ってゴンだと思ってたんだけど、まさかの「スポーツカーかっこいいでしょう、おいで〜乗ろう〜ドライブしよう〜」って声かけて言葉巧みに子供を操ってて最悪度が増した。そこが体育会系じゃなくて理詰めなのがさすがの『彼』である。

優しそ〜う(不気味)な『彼』すごく良かった……前田さんって悪役顔?も似合うけど、やっぱりベースは爽やかお兄さんだなぁと思った。

 

・事件がバレちゃったあたり

『私』の焦りが身のこなしと歌からすごく伝わってきて好きでした。それに対して冷静…冷静というか自分の行いによって冷静さを欠いた結果余裕こいてる『彼』の対比がよい。

舞台の上手下手でやりとりしてるの好きです。

メガネの歌がめっちゃメガネでちょっとふふって笑ってしまった。

あとラジオで流れてた記録的猛暑が記録的猛暑すぎて気が気ではなかった。

 

ニーチェへの傾倒

え!知らない間に『私』もニーチェに傾倒してる!???になった。最初は違ったよね?

ここは考えたことあるから今度書く!

 

・『私』の胸の内

だんだん『私』の目的が明らかになってきた時ウワ〜〜ッッッッて声出そうになった。君と一緒にいるため、鳥籠に囚われた2羽の鳥のように…。例えが鳥なの美しいなと思ったけど、そうかバードウォッチングが趣味だもんね…。そうですか…。じわじわと意味がわかっていく感じがゾクゾク不気味でした。今までわたしが観てきた『私』は一体……………。めちゃめちゃびっくりした、雷に打たれたかと思った。

とにかく2人で一緒にいるために『彼』無計画に便乗して利用したと分かって、「いつから……………」と頭を抱えてしまった。

よくニュースで「自分のものにするために殺した」的な話があるじゃないですか。それの意味がずっと分からなかったんですよ、死んだらいなくなっちゃうじゃんって思ってた。

でも、一緒に檻に入るために罪を犯した、は共感できないけど筋は通っていて理解できるな………となった。一緒に死ねるならそれも良いっていうのも分かる。美しいところで終わりにすれば、そこで思い出を閉じ込めておけるからね。なんか『私』の思いを聞いて「そっか〜〜〜〜そんなに愛してたんだね……………」になった。『彼』がどんどんぐちゃぐちゃになっていく様はとても切ない…切ない…?なんかもう、あぁぁぁぁぁ…と思うことしかできなかった。ここはもう少し整理してから。

やっぱりここのひっくり返される部分がすごく衝撃的で、後頭部ドカーンって感じだった。良い体験だった。良い体験だったなぁぁぁぁ観劇って楽しいなぁぁぁぁ

 

・ラストのほう

最後に『私』は枷が外れて自由になるけど、『私』は嬉しかったんだろうか。手にライトが当たって枷が外れるのが、ライティング綺麗だなになった。このあたりはもう少し整理してから。

 

・そのほかの感想

わたしは歌詞を聞き取って理解するのが苦手なので、3回くらい「なんでこうなってるんだっけ」になった。『彼』がニーチェに傾倒してて超人になるぜみたいな話のところちょっと待ってボタン押したかった。分かるけど速い速い。

初めて「ふんふん」って感じでニーチェの本見てる『私』可愛かった。

『私』が『彼』にめちゃめちゃ温もりを求めているのが印象的。とにかく目に見える愛が欲しくて愛に触れたくて『彼』に尽くして見返りを求めようとしている感じ。そしてそれを分かっていて、焦らし突き放す『彼』。『私』が求めているものが分かっているから、自分が『私』に何かしてほしいときだけ「レイ」と呼んだり「お前が必要だ」と言ったり……。しかもすごく優しく。さすがにメンヘラ製造機すぎるぜ。

 

そう!すごくびっくりしたことある!!!!

てっきり『私』と『彼』が出会ったことで始まる物語というか、出会ったことで起きてしまった最悪な事件の話だと思ってたんだけど、違うんか!!幼馴染(?)なんだ!?高校生の頃に消えてしまった『彼』ですか…そうですか…びっくりですことこの上ない。静かにずっと『私』は心の内に燃えるものがあったんだね…。

 

・さいこう

木村達成運動神経最高シリーズに、高速捌けと油撒きと一斗缶投げと新聞投げとカバンキャッチが追加されて最高が止まらない。

 

・そのほかの最高

カテコで髪を耳にかける前田さんがとても綺麗だった

落合さんが捌ける前に捌けようとする木村達成さん可愛かった、そのあとぺこぺこお辞儀してた

前田さんのスッキリとした小さいお顔に対しての肩幅の広さに遠近感がバグった

血の契約の、指を切られるのが怖い『私』が注射を怖がる子供みたいだった

 

とりあえず一旦これで!

とにかくすごく衝撃的で、刺激的で、貴重な観劇体験でした。

大好きな役者さんがスリルミーに出演しているという世界線を生きられてよかった。

私の初めてのスリルミーを、1番好きな役者さんに捧げることができてよかった。

これからも大切に観劇します。

 

おわり

 

 

 

『私』が『彼』に向ける視線が常に恍惚としていてびっくりした。手つきも隙あらば艶っぽくて、観ていて不安になるくらい温もりを求めている手だった。

途中で『私』はお金はある家庭に育った、父親は偉い人ということがわかるけど、行動の根底には「環境的には恵まれているけど愛をもらえなかった人」なのが関係してるんだろうなと感じた。

『彼』はとにかく弟へのコンプレックスがすごくて、弟を超えて親に振り向いてほしくて仕方ないんだなと感じた。なまじ頭が良いだけに、ニーチェに傾倒したのだな。何かを信じる心は素晴らしいし精神の安定に繋がるけど、人を巻き込んではいけないのよねと思った。