ででの日記

好きな話は何度したっていいもんね

ミュージカル「ルードヴィヒ」おぼえがき

2022/11/05マチネ
ミュージカル「ルードヴィヒ〜Beethoven The Piano〜」を観劇しました!

https://musical-ludwig.jp/

 

すごかった……!!!!!

このミュージカル、好きー!

人間と音楽が持つエネルギーってこんなにあるんだ、と圧倒されました。

 

これは観劇が叶わなかった人も是非配信で見てほしいなと思いました。登場人物が少なくて場面の転換がほぼないので、比較的配信でも見やすい内容なのではないかなと感じました!2時間ノンストップだしね。(2時間ノンストップの舞台すごすぎるけど…)

生配信が2回あって円盤も出るのすごい…!

円盤は完全受注生産なようなので、迷っている方は予約することを強くおすすめします!曲も演出も役者もぜんぶよかったです!

 

内容にたくさん触れます!全て個人の見解です!

 

韓国ミュージカルだけあって、音楽と物語の展開がパワフル。休憩なしの2時間なのがすごい。役者さんと演奏者さんたちの体力…!

2時間の中でベートーヴェンの幼少期から壮年期までの生涯を描いているのでスピード感がすごい。走馬灯のよう。観終わったあと少し肩の力が抜けたところで「なんだっけ…」となりました。観たものがすごすぎて!笑

なんかもう、最初から中盤までずっとクライマックスで、観てて息切れしてしまいそうだった。それくらいドラマチックで、人間が板の上を生きるエネルギーが凄まじくて、「観た」というより「浴びた」でした。

 

芸術劇場プレイハウスでの上演と知った時「絶対に人気なのに狭すぎる」と思いました。(パンフレット読んだら韓国ではもっと小さな箱でやっていたと書かれていました。そうだったのね、失礼しました…)

会場に着くと、たくさんの人がキャンセル待ちに並んでいて(もしかしたらすでに当日券持ってる人もいたのかも。公式サイト調べたけどいまいち分からなかった…)、とんでもないミュージカルだなと思いました。立ち見席もありました。

でも舞台上のセットを見た時に、この箱でやることの意義を(勝手に)感じました。

全体的にクラシカルな雰囲気で、真ん中にはその時代に使われていたであろうデザインのピアノ。そして木目調の床に溶け込みピアノをぐるりと囲む盆。

下手側には雑多に物が置かれたベンチにピアノ。その奥にはバイオリンとチェロを演奏するお二人。演奏エリアを優しく見守る大きなステンドグラス。

上手側には楽譜や雑貨で散らかった机と椅子。そして舞台の奥と手前をぐるりと繋ぐように築かれた上手側の階段。階段の下にはアーチ状の柱のようなもの(表現力ぅ…)が付いていて、そこを俳優がぐるりと回ったり、奥に捌けていったり。奥行きのある舞台の使い方が観ていてとても楽しかったです!

そして何より、上から糸で吊るされた長方形の木箱。階段のようにひとつずつ段差がついていて、ぐるーっと半円を描いていたのが美しかったです。ベートーヴェンの耳鳴りがしている時に、吊るされた糸にちょうど光が当たって「ピーン」とした耳鳴りが目に見えるようで面白いなと思いました。

光の当たり方によって、ピアノの白鍵と黒鍵に見える瞬間があってゾクゾクしていました。そしてゾクゾクしていたところ、物語が盛り上がったところで吊っていた糸が緩み、鍵がぐちゃぐちゃになって「うわぁ……最高…………」と思いました。そんな最高なことあるんだ。

あと、階段に5本のネオンライト(?)が付いていて五線譜のように光っているのが好きでした。愛だね。

奥行き狭めの小さめの舞台に、大きめなものがボンボン置かれ、全体的にぎゅっとしているのがドールハウスを見ているようでした。かわいい。ごちゃっとした空間と全体のコンパクトなサイズ感がルードヴィヒのリアルな生活を覗いているようで好きでした。

 

中村倫也さん

歌が!うまい!それはそう、知ってる…!

柔らかく優しい歌声の時もあれば、高く響く歌声の時もあれば、低くドラマチックな歌声の時もあり。もちろん同じ人物を演じているんだけど、曲ごとに声色や音色を自由自在に操っているようでした。その曲にとって1番聴き心地の良い声色で、ベートーヴェンの心情が表れるよう歌っているような。とにかくずっと歌が上手い……。五線譜の上をなめらかに滑るような歌声でした。

絶望、苛立ち、慟哭、相手が受け止められないほどの重い愛。ベートーヴェンにはたくさんの感情がありました。ぐちゃぐちゃな表情が本当にお上手〜やだもうありがとう…。

あんなに叫んでいるのにスッと歌に切り替えるのすごい。喉、すこやかであれ。

と思っていると急にぽやぽや可愛いくなったりするので気が抜けないなぁ(にっこり)と思いました。聴診器のシーン好きです。

ベートーヴェンあんな感じだけど、なんだかんだ側に人が居た時間があったのはあの佇まいがあったからこそだと思いました。

 

○木下晴香さん

歌が…!うまい…!!!それはそう…!

凛とした佇まいがかっこいいです。

絹糸のように伸びやかな歌声が素敵。小さな鈴がチリンと鳴るような可憐な歌声の中に、太いパイプが一本通ったような逞しさもあり、あの時代の女性のしなやかさと彼女自身の意志の強さを感じました。かっこいい……。うたがうまい…。

自分のやりたいことをするために道を考え、行動に移す。子供に愛を持って接する。苛立ちを抑えてルードヴィヒのためになることを言う。全部カッコよかったです。地に足ついたかっこいい女性でありながら、誰かに愛を向けずにはいられない姿がとても魅力的でした。

 

福士誠治さん

声が綺麗!素敵!

歌がうまい!

そして何役もくるくる入れ替わり自然体で演じ分ける姿がかっこいい…!器用……!

壮年期のルードヴィヒの時はちいちゃいお爺ちゃん、青年カールの時は背筋の伸びた若き青年。そういえば序盤は貴族?すごぉい…。役の入れ替わりのタイミングがころころあったのに、観ていて違和感なく、でもちゃんとどの役か分かるのすごいなと思いました。ルードヴィヒが2人とも舞台上にいる時があった気がするけど合ってるかな。すごくエモくて好きでした。

歌声がとても綺麗で魅力的でした…。中村倫也ルードヴィヒとのデュエットが特に好きです。ルードヴィヒの歌声は割と高めで細く伸びる感じなのに対し、福士誠治さんは太く芯の通った歌声で、ちょうどこう…いい感じに…福士誠治さんが引いた5本の線の上に、中村倫也さんが音符を描いていくような…そんなデュエットだったなと思いました。

 

○小暮真一郎さん

スタイリッシュ好青年…!歌がうまぁい…。

この作品のことをあまり調べずに観劇したので、青年役からそのまま作品に寄り添いピアノを弾き続け、また青年に戻る演出がとても素敵で面白いなぁと思いました。彼があそこでピアノを弾き続けていたから、バイオリンとチェロのお二人もただの伴奏ではなく物語の一部として溶け込んでいるように感じられたのだと思います。

小暮さん本当に一生ピアノ弾いててすごい。私はピアノを弾けないので細かいことは分からないですが、歌唱の伴奏曲とベートーヴェンの曲を交互に(もしくは融合させて)弾いてるのすごすぎると思いました。素敵だった〜……

 

○高畑遼大さん

すっごいもう!歌〜!うま〜!

まさか子役さんがこのミュージカルの歌唱一発目だと思っておらず、びっくりしてしまった。そしてうますぎてちょっと泣いた。そんなうまいことある?

幼少期のルードヴィヒ可哀想………可愛かった…。

そしてまさかその後に…名前忘れちゃった…。ピアノ教えてほしい男の子と、カール役であと2回出てくると思ってなかった。3役演じ分けがすごい!

ルードヴィヒのピアノを聴いてすごいすごい!ってパチパチ手を叩いて喜んだり、ルードヴィヒと鬼ごっこをしたりとても可愛らしかったです(そして歌のうまさ大人っぽさのギャップに泣く)

三役ともルードヴィヒに怒鳴られっぱなしだったので、舞台裏ではみんな仲良くあってほしいし可愛がられてるといいな…。(倫也さんがぽやぽや話しかけてるのが目に浮かんで微笑ましい)

 

○あと好きなところおぼえがき

 

聞こえなくなる演出うますぎる。まさかあんな序盤で聞こえなくなると思ってなくてびっくりしちゃったんだけど、話し声が歪んで遠くに聴こえて、キーンと耳鳴りがするのがリアルで「うわ〜〜…」になりました(褒めてる)

聞こえたものが聞こえないという状況をこうして観客も体感できるとルードヴィヒが感じる苦悩を少し分かるような気がしていいですね。好きです。

 

回想で物語が進むの好きです。大きくなったルードヴィヒと幼いルードヴィヒが抱き合うところとか。「あの時救えなかった自分を大人になって救ってあげる」的な描写に胸が熱くなりました。

あとルードヴィヒが幼い頃に受けた虐待を結局自分も同じようにカールにしてしまっているところとか

ピアノ教えてほしい男の子とやった鬼ごっこをカールとまたやるところとか

好きです!そういうの好き!人間って根本的には変わらないんだな…。

あとあれ!1人がしゃがんでもう1人が後ろに立ってるとこ!最初は倫也さんがしゃがんで福士さんが立ってるのが、カールとルードヴィヒになると逆転するのが好きでした!

 

ルードヴィヒかわいい

地獄!地獄!地獄!の中にぽやぽや可愛いシーンがあって嬉しかったぁ

まず鬼ごっこのシーンでしょ。最後に足痛いふりして子供捕まえちゃうところまで賢くてかわいい。

あとピアノ弾いて聴かせてあげるシーン。「すごいだろう!ベートーヴェンだからな!」と自慢げに月光第3楽章弾くの良すぎる(ジャッジャーンのとこまで聴きたかった)

あと聴診器のシーンも可愛かったし…田園の紹介で後ろで腕組んで足上げて踊るとこ(?)も可愛かったし…。

耳聞こえなくなって苛立ちが増して、(聞こえないから)動きも声もデカくてちょっと怖かったけど、意外と大丈夫なふしぎ。全体的にぽやぽやしてるからあんまり怖くない。そして悟りを開いた後のぽやぽやルードヴィヒとても可愛かったな…。

 

可愛かったと思いきや、指揮のシーン超キマってるし、絶望に打ちひしがれてるのが似合いすぎるし…最後までずっと良い!もう書ききれない、割愛!

 

ルードヴィヒ、紙を投げるのが異様にうまい。パッと上に投げてヒラヒラ〜と楽譜が舞ってるの綺麗でした。なんであんな上手いん?ピンポイント技能すぎる。

 

1番「うわぁん…」ってなったところは、音が聞こえなくなったルードヴィヒがピアノに耳をつけて音(振動)を聴きながら体の中で鳴っている音楽を譜面に起こすところ。まずピアノに耳をつけているところで切なくなっちゃった…。細かい…。

譜面書き起こしてるうちにピアノに触れなくなるんだけど音は鳴り続けていて、ルードヴィヒの中で音楽が鳴っている事実を体感できて面白かったです。演出うま!!

 

基本的にピアノとバイオリンとチェロの音が鳴ってるけど、意外と現代的な音が鳴ってる時があってびっくりしました。でもそれが韓国ミュージカルっぽーい!とも思いました!

例えば舞台映像にも残っているルードヴィヒが上着脱ぎながら「聞こえない」ってやるところ…(?)

パン!パン!が現代的でちょっとびっくりしました。おもしろ〜い!

 

ライティングが素敵。下手側のデスクにルードヴィヒが座って耳鳴りがするところ。楽譜に細い光が何本か刺して反射しているのが綺麗でした。細い光が耳鳴りのようで、楽譜に反射して真っ白に光っているのが、ルードヴィヒの音楽の聴こえない絶望を強調していて切なかった。好き〜!!

 

役者5人(ほぼ3人?)で回してるのにこのパワー。人海戦術で音楽に厚みのあるミュージカルも好きですが、登場人物の少ないミュージカルも好きになりました。すごい…!

演劇と歌唱パートの境目が割とはっきりしている印象で「音楽劇」っぽいなと思いました(ミュージカルと音楽劇の違いよく分かっていないけど)

一曲が長すぎず聴きやすくて好きでした。なんか韓国ミュージカルの曲って日本人が好きそうなメロディー多いですよね…ありがとう…(韓国ミュージカルフランケンシュタインしか見たことないけど)

全員の演技と歌がエネルギッシュですごかったなぁ…。良い舞台だったなぁ…。歌がうまいなぁ…。これ円盤あるの嬉しいな…。

 

2階席だったのですが、なんか4曲くらい爆音でどうにかなりそうでした。私だけ?

セリフも歌声もよく聞こえて助かるなぁとは思っていたのですが、あまりにも爆音すぎて「ルードヴィヒの!耳より!先に!私の!耳が!終わる!!!!」と耳を塞いでしまいそうになる瞬間がありました。録音の音楽が流れてるところだったのかな?音割れもしてた気がするけど、もしかしたらそういう演出かもしれないし私の耳がおかしかったのかもしれないし、そもそもそういう曲だったのかもしれない。謎でした。歌詞とセリフが聞き取れないこともありました、爆音すぎて。

おっきかった〜、音!!

だからこそ2階で存分に音楽を浴びられたのはある。円盤で歌詞とかセリフとか細かく聞き取れたらいいなー!

 

受注販売ではあるけど、劇場で円盤を予約できるのいいですね。観る前から円盤があると分かっている安心感。そして観劇後の1番テンションが上がっている時にそのまま予約できるという運営にも観客にもメリットしかないシステム。最高!

予約してる方たくさんいらっしゃいました。ミュージカルの円盤、なかなか出ない世の中だけどやっぱり需要あるよね。そうだよね。

あと円盤が送られてくるのは7月ごろみたいだけど、その前に1月に特典が送られてくるのすごい!ホスピタリティ!ありがとう!!運営さんすごい頑張ってる!ありがとう…!

 

ルードヴィヒ、とても好きなミュージカルでした。円盤ある!ばんざーい!

 

おわり