ででの日記

好きな話は何度したっていいもんね

ミュージカルクロスロードを観劇して悪魔たちに魂を握られた日

ミュージカル「クロスロード」

2024年4月28日マチネ公演を観劇しました!

んも〜〜……おもしろすぎて最高すぎて口角が上がりっぱなし。気づいたら「にこ……」してしまう。なけなしの社会性が失われつつある。ゴールデンウィークの中日、休み取っておけばよかったな〜。

 

ミュージカルクロスロード、音楽もストーリーもキャラクターも舞台セットも照明も、何もかもが最高……。自分のツボに刺さりまくり、毎秒「こういうの好きでしょう、ガハハハ!」とでも言われているような感覚。がっっっっちり心掴まれてしまった。心掴まれすぎて観劇後に帰宅してから5時間フォロワーさんとSNS上で感想合戦してた。観劇した後リアルでも感想合戦したのにね。「あのシーンのあれがよかった…」が日夜、止まらない止まらない。(観劇から4日経ったけどまだ感想合戦してるし「あのシーンってああいうこと!?」って後から分かることがあって楽しい。もう止められない)

マジで本当に良すぎていのちたすかった。悪魔に命取られるどころか寿命延びた。

もう一回(とは言わずに何度でも)観たいからチケット追加しちゃったぁ……まだ買えるの嬉しい…。昨今はチケット争奪戦の作品が多く「観劇=ガチ勢オタクのもの」みたいな風潮になりつつありますが、改めて、ふらっとチケットが買える世界っていいね、と感じました。(私もリピーターなので意味合いは少し違いますがね)

初見の感想は所見のうちに!ということでガッチリバッチリネタバレします。内容知りたくない方は回れ右で!

 

観劇のきっかけ

このミュージカル観ようと思ったきっかけはエリザ役の元榮菜摘さんでした!

私は君嘘のミュージカルが大好きで君嘘出てたキャストさんは全員応援してる気持ちなんですけど、今回元榮さんがプリンシパルキャストを演じられるとのことで!!とても嬉しくて!!あと柴田実奈さんも山崎感音さんも出てるということで!嬉しい気持ちでいっぱい!やったー!って。後は皆さん初めて観る役者さんでした!(と思ったら違ったんだけどそれは後述)

なのでめちゃめちゃ楽しみにしてたんですけど、さらに付き合いの長いフォロワーさんが…なんか…藤沢文翁のオタクになってて(文翁のオタクになってて!?)……w

「そういえば文翁って最近よく見る単語だな、なんて読むんや」と思ってたけど!笑!まさか交わるとは!!

同じ趣味で仲良くなってから数年間、うっすら趣味嗜好が似ているような違う作品にハマっている姿を眺めていたら、またこうして趣味が交差してるのおもしろい。SNSってこうだからやめられない。

ぜひ一緒に行きましょ〜!となって、さらに趣味が合いそうなともだち2人誘って4人で観ました。お友達が文翁のオタクでよかった〜。引き合わせてくれてありがとう……。

…………いや文翁のオタクてなに。(声優を追いかけてたら朗読劇シリーズに行き着いたそうです)

「文翁のファンクラブ入ってるんだけど……」て申告がここ1年でいちばん面白い日本語だった。あるんだ、ファンクラブ。入ってんだ、ファンクラブ。

そんなわたしも文翁済みの人間になってしまってもう元に戻ることはできないんですが。人生に文翁以前と文翁後がある。文翁のオタクがこの世に誕生するのも納得の観劇体験でした、ミュージカルクロスロード。

※あとクロスロードが文翁先生デビューだと思ってたけど、キングダム観てた!

事前に出てた歌唱動画とかプロモーション動画とか見ないで観劇しました!さすがに登場人物くらいは予習しとけばよかった!

出演者全員最高!

表題の通りで本当に全員最高で私はどうしたらいいかわかりません。

さて!私が観た回のWキャストはこんな感じでした!

パガニーニ:木内健人さん

アーシャ:加藤梨里香さん

アルマンド山寺宏一さん

はぁ~~~~生きててよかった観てよかった…ちゃんと1人ずつ感想書きますね。

アムドゥスキアス役:中川晃教さん

拝見するの初めてでした。巷であっきーと呼ばれていることは知っている。えっ、うっ歌がうますぎる……。アムドゥスキアスが歌う曲って音楽の悪魔の曲だけあってめちゃめちゃ難しそうなのに(難しそう、と書いているのは私が音楽のこと全然分からなくて下手なこと言えないからです)、飄々と歌い上げている感じがとてもすごくて、観ていて口をあんぐり開けてしまった。まず音程の高さにびっくりしたけど、そこから更に上がって上がって上がって、まだ上がる!?と驚いたところで、オペラやん!!!!に着地する。作曲した人、鬼かー!?最高すぎる~~(泣)聴いててこんなに気持ち良い事があるんだなぁ。中川あっきーさん、この役やるために生まれてきたのかと思った。本当にありがとうございます。

ビジュアルがすごすぎる。そんなに似合うことある?最高だなぁ、スタイリングと衣装。麗しくてかっこいい。あとかわいい。ジャケットの長さとかニーハイブーツの長さとか、マントの重厚感とかハットの装飾とかすべてが可愛かった。特にマント!裏地がワイン色っぽくて高級感あって、重さがあるからふわっと舞った時にキレイなの大好き。

あとから気づいたけど、メイク意外と薄いですよね…?天然物の魔性フェイスってこと?(?)

あとステッキ。あんなに美しくステッキ操る人(人ではなく悪魔)がいるんだね、かわいいね(泣)パガニーニになにか言う時に「くるくる~ぴっ!」ってする感じとか(伝わって)、ステッキをスッと前に突き出した時に、マントも一緒に持ち上げる仕草とか(伝わって)良すぎる良すぎる良すぎる好きすぎる~~!

ステッキの有無にかかわらず、指先をくるくる~ちょん!♪ってしてるイメージがすごくあって、それが五線譜をなぞっているようで、音符にちょんと触れているようで好きでした。

中川あっきーアムドゥスキアス、語尾が全部「っ♪♡」なのずるくないですか?可愛すぎるし、誰よりも人生(悪魔生)を楽しみ人間を弄んでる感じがする。けど、あまりの可愛さに人間としては全然憎めないですし……。どちらかというとメロメロになるし、「従わなきゃ」と縛り付けてくるんじゃなくて「従っちゃおうかな♡」と思わせる何かがある。まさに魔性。はぁ~~~~可愛すぎる、かっこよすぎる。

観劇後、一緒に観に行ったともだちに「あっきーのYouTubeのパイナップルを切る動画がおすすめ」と言われました。なに?こわいね。前田公輝くんのスイカを切る動画と同じ波動を感じる。どの動画か判別できなかったのでまだ見てないです。

パガニーニ役:木内健人さん

好き…………大好き………………たすけて~~~~~~!!!!!って、観劇終わった後、なりました。幕間でもなったけれども。今も毎日たすけてって言ってる。

木内健人さんのこと、クロスロードで初めて拝見し…………たと思ってたんですけど、なんとSPY×FAMILYのフランキー役だったんですね!?えっ!?観劇しました!!

えぇ、別人すぎる。本当に?本当だぁ……。モジャとメガネを掻き分けた先にある顔、パガニーニと一緒だなあ。笑顔が素敵だなぁ。なんでそんなイリュージョンみたいなことが起こる?

この「舞台俳優の経歴を遡ったら実は別人すぎるキャラを観劇済みだった現象」あるあるだけど何回遭遇しても慣れない。フランキーすごく声が良くてコミカルで可愛くて好きだった記憶があるんですが、そうなんですか……木内さんでしたか…気づくのが遅くなり申し訳ありません…。ここでまた観ることができたの、運命かも(すぐ運命とか言う)。うれしい。

木内健人さんの演技と歌声と身のこなしと表情、つまり全てにメロメロになってしまったんですけどどうすればいいですか!?この役を生きてくださりありがとうございます!泣!

まっすぐで凛としている歌声がすごくすごく好きです。パガニーニの一本筋が通った感じとか、聡明な感じとか孤高な感じが歌声にすごく合っていて(表現されていて)大好きが止まらなかったです。でもパガニーニの若さであったり、弱さや儚さや苦しさも木内さんの歌声にはあって……。まるでガラス細工のような歌声で、歌声ひとつに透き通った部分も光を反射して煌めく部分もぽつんと孤独な寂しさもあって、すごくすごく大好きです…………。

物語の序盤はキリッとシュッとしているというか、絶望から始まってどんどん孤独になって周りにツンケンした態度を取っているのがすごく…似合うお顔をされていますよね………(?)え、なんか褒めどころ間違えちゃった。違くて、ツンとした凛とした雰囲気がすごくミステリアスで好きです。

でもそのツンケンした態度に可愛さがあって、近くにいたアルマンドやアーシャやエリザがパガニーニを放っておけなくて愛おしく思っていたのも分かるなぁ…って納得します。他人に嫌な態度を取るけど全然憎めない。すごく人間くさいというか「きっとこの態度を取っているにも理由があるんだろう」と思わせるなにかがある。そして、やっぱり随所にキュートさがにじみ出てるんですよね。なんだこっちも魔性の男か…みたいな笑。

アムドゥスキアスがパガニーニのことを気に入っていたの、ただ音楽の才能があって血の契約を交わしたからだけではないですよね(にこにこ)って感じ。アルマンドパガニーニの寝顔のこと可愛いって言ってたけど本当にそう、本当にかわいい…子供みたいなあどけなさがある…。音楽の才能あるがゆえの人間としての未熟さが相対的に際立つというか…?

やっぱり役者さんの絶望した演技が大好きなんですが、木内パガニーニの脆くて壊れてしまいそうな絶望の演技大好きです……。膝から崩れ落ちる姿、美しかったです…。だいすき…。

あと超絶技巧のシーンのダンスが凄く美しくて!見惚れてしまいました。きれいすぎる…軽やかにバイオリンの技をこなしながら、滑らかなメロディーを奏でているんだろうなぁというのが伝わってくる、しなやかで艷やかなダンスでした。大好き。振り付けがすごくダイナミックで「何かが乗り移って超絶技巧を弾きこなしている感」も感じました。弾き終わった後の立ち姿もすごくかっこよくて、衣装と髪型も相まってメロメロになりました。

(背中にバイオリン持って弾くところジョジョみたいで好き)

え~~~大好き…歌声も演技もダンスも大好き…ぼくはどうしたらいい…。

観たいな~と思ってた秋のクリエのファンレターにご出演されるそうで…!うれしい……!これからも木内さんの活躍が楽しみです!!!!!!!!

アーシャ役:加藤梨里香さん

かわいいっっっ!楽屋猫という呼び名にぴったりなすばしっこさと、あどけなさ。お歌が本当に可愛くて大好き。カラッと元気で、キュートに乙女なところもあってかわいい。

アーシャのお洋服、布が多くてかわいかった~。くるくる~って回った時にエプロンやシャツやスカートがふわっと舞うのが綺麗。

驚きの神経の図太さと飾らない態度で、楽屋の扉だけでなくパガニーニの心の扉にもスルッと入り込むアーシャ。光の存在。私もこのアーシャのメンタルで生きていきたいな。カラッと元気なアーシャとクールなパガニーニの掛け合いが大好きでした。パガニーニもアーシャの前ではタジタジというか、「スン…(諦め)」てなってるの可愛すぎた。パガニーニにアーシャが居て本当によかった。どんな時も態度が変わらないアーシャ…。

アルマンドといっしょになると2人しておもしろ担当になるのも大好き。可愛すぎ。パガニーニのそばにいる人達、愉快。一生そのままでいて。

エリザ役:元榮菜摘さん

元榮ちゃん、お歌も立ち姿も演技も何もかもかっこよかったーー(大号泣)!!!!高貴で孤高で凛としていて!!

君嘘の絵見ちゃんで初めて観たのですが、お歌がかっこよくて、大好き!って思ってたけど、エリザ役でさらに艶やかさがマシマシになっていて本当にお似合いだったし素敵だった…だいすき…。1幕で出てきて「パガニーニぃ(キュルキュル上目遣い)食事に行きましょう(きゅるきゅる)」の一声でもう魔性の女確定!と思ったんだけど劇中で本当にファムファタールと言われていてにこにこになった。こんなの全人類クラクラのメロメロになってしまうよ。魔性の女ってこういうことを言うんだなぁ。

2幕でエリザが重要な人物としてたくさん出てきたのが嬉しかったー!アムドゥスキアスとのダンス、美しい。ふたりが艶やかで麗しくて異世界かと思った。ゲネプロ映像にちょっとこのシーンが映ってるけど、ミステリアスで艶やかな歌声としなやかなダンスがとっても素敵…。お衣装もメイクもすてき…。その綺麗な発色のリップ、どこの何番ですか?(?)

エリザはわがまま娘だけど「みんな権力があるから私に寄ってくるだけよ」って呆れというか諦めというか、寂しさを纏っているところも素敵でした。

パガニーニを愛した後、最後に突き放す決断をしたところ泣いた。きっと初めて、自分の欲を満たすんじゃなくて、相手のために行動しようと思えたんだよねエリザ…(爆泣)

えーーん元榮菜摘さん素敵でした!!

あと、扇子をシャッってするところ上手すぎて二度見しました。好き。

コスタ/ベルリオーズ役 坂本健児さん

たぶん初めて拝見した気がします…!素敵だったぁ…。コスタもベルリオーズもどっちも素敵だった。両役の印象が全然違うから、どちらも坂本さんであることに途中まで気がつかなかった。歌が…うまい……。

コスタとパガニーニママの「この子は天才ですよね!」「天才….」ってやりとりを見て、「コスタは悪役かー!?良い味…!」となりました。誰よりも冷静にパガニーニの音楽家の部分を見ていた人物。聡明で、忖度なくパガニーニに接するかっこよさがありました。あとはこう、この舞台の中で1番人間らしいというか「普通の人」という感じで、パガニーニやアムドゥスキアスの特別感が引き立っていたように感じます。

2幕では一転してベルリオーズ役!めっちゃ好き…。健気な音楽家すぎる、どういうことやねん。壺とか買わされそう。晩年のパガニーニとのやり取りのシーン泣いちゃう…。よかったね最後にパガニーニと会えて…。

あぁ〜、どっちの役か忘れちゃったけど「右に行くか左に行くか」みたいな曲好きでした…。あと「才能才能才能〜」の曲も!切ない曲…。

アルマンド役 山寺宏一さん

すごい!!舞台上の人から山ちゃんの声がする!となりました。当たり前です。

アルマンドさぁ…冒頭のアーシャとのやり取りでは全然「ふーん執事かぁ」って感じだったけど、だんだんパガニーニとの関係性や積み上げてきたものが分かってくるとさ………泣いてしまった…………。アルマンドがまさかこんなに、この物語を握っているとは思わなくて、もう…もう…いや、アルマンドパガニーニの話は後で書こ。

山寺宏一さん、やっぱり大ベテラン声優さんだけあって、声のマイクへの乗り方がすごい…!何が違うのかよく分かんないけど、すごく声がクリアで聞き取りやすい…!

アルマンドパガニーニのこと待ちくたびれて外でむにゃむにゃ寝ちゃったところ、むにゃむにゃ声が上手すぎて(むにゃむにゃしてるのに全部聞き取れる)感動しました!!

あと本当に面白い…。小ボケかましてきたり、紳士の余裕な立ち振る舞いをしながら全力で笑わせにきてるのかわいすぎる。みんなのお父さんって感じがしました。はぁ…アルマンド

テレーザ役:春野寿美礼さん

(たぶん)はじめて拝見しました。うたがうまい…。そして、歌声が慈愛の擬人化みたいですね…?パガニーニをある種盲目的にまっすぐ愛していることが深く深く伝わってくる歌声でした。最後の最後まで、パガニーニが変わってしまっても変わらぬ愛で包み込み続けたテレーザ…。最後にコンサート聴けてよかったね…。子守唄的な曲、すごく印象に残るなぁ…と思っていたら最後にドーンのバーンで泣きました。うぅ…。

あとテレーザの死亡フラグが立った時に春野さんの演技があまりに上手すぎて「死んじゃう!やだーー!」と心のなかでジタバタしました。ぜんぜん死ななかった。よかった。母強し。女強し。

トンと触れたら倒れてしまいそうな印象を見せつつ、めちゃめちゃ強いテレーザ。好き~!

こんなにおもしろくて都合よく美味しくて最高なことがあるか?という話

表題の通りなんですが、こんなに美味しいことあるの?ストーリーと演出と音楽とキャラ設定etc…が。こちらの趣味、筒抜け?(たぶん文翁先生と趣味が似ているだけです)

こんなさ、的確な言い方が見つからないんだけど「オタクはこういうのが好き」のフルコースを出されたらもうひれ伏すしかなくなる。もはやフルコース食べに行ったつもりがシュラスコだったまである。上品にお腹と気持ちを満たして終わるつもりが、美味しい料理が出てくる出てくる出て……えっ…?もうお腹いっぱいなんですけど………!お肉ストッププレートを出しても延々とお皿に盛られるお肉たち。あっもう大丈夫っ、あっ、え〜んありがとうございます……美味しい美味しいと泣きながら平らげる我々。シアタークリエがフードファイト会場と化した瞬間だった。(ちがうよ)

恥も語弊も恐れずに書くけれど、もう全てが””””刺さる""""じゃないですか。ダークな世界観、転調とメロディが気持ち良すぎる音楽、絶望から始まるストーリー、主人公が音楽家、悪魔と血の契約、端正な顔立ちの強がっている主人公が弱っていく姿、悪魔との対立、アルマンドパガニーニの特別な絆、アーシャとパガニーニの特別な絆。もう!書ききれません!毎秒ツボでした!歌詞もツボでした!これ以上やめてください!!!降参!!!!ワンシーン思い出すだけで「にこ…」ってできる。生活が侵食されている。楽しすぎる。社会性はなくなっていく。

幕間に一緒に観たみんなで「最高すぎる…」と笑い合い呟き合い、助けを求めあった。あまりにどストライクすぎて溺れて息できなくなるかと思った。観劇してから何日か経ったけどずーーーっと感想言い合っとる。この前クロスロード観てない人に「なんか寝ずにミュージカルの話してない?」って言われた、そうです。こう、後から後からじわじわと効いてきて「あそこ好きだったな…」がどんどん出てくる…。たすけて。

終演後ほんとに「寿命延びた~~~!」って笑い合いました。いのちたすかる~~オタクの魂百まですぎる~~~~生きててよかった~~~~!

文翁のオタクが爆誕するのもとてもよくわかります、これはもう文翁先生に命握られました。つぎのVOICARIONも絶対行きたい。

好きポイント(順不同)

すべてがツボすぎて何から書いたらいいかわから~~~ん!!

アルマンドがアーシャに思い出話を聞かせる(??)ところから始まって、自然とお話の中に引き込まれる構図大好きです。

舞台セットも空間の使い方も照明も最高すぎる!

盆が回るのだ~いすきなんですけど、こんなに盆の回し方が上手い舞台始めて観ました!舞台が転換する時に盆回るんですね。盆が回ることで、この作品だと歯車が回るようというか…オルゴールがゆっくり回転するような印象を持ちました。クリエが小さいのもあるのかも。転換で現実に戻されることがあまりなかったし、人力で転換することがなくて舞台上がスッキリ見えた気がします。あと、舞台セットが角度によって地形が変わるのが好きでした。特に好きだったのは、細い通路が客席に向かって垂直に…?パガニーニが崖の上に立っているように見えるところ?が好きでした。「これがここぞという場面です!」という感じでラブが止まらなかった。

照明がとても好きです!!アムドゥスキアスに常にオレンジの光が当たって人外な感じとか(人外に寒色当てそうなのに意外だなと思いました)!どのシーンか忘れてしまったんだけど、パガニーニがとても意を決してバイオリンを弾く時に、真っ暗のなか片側だけ赤いライトに照らされているところがすごく好きでした。パガニーニの悪魔の部分がぐわっと出てきた感じ。聴衆にはこんな邪悪な存在に見えていたのかなと思わせる照明でした。

最後のパガニーニVSアムドゥスキアスのシーンも、すっごい照明が明るいおかげで「パガニーニ、勝った!!」と思いました(えーん)。

空間の使い方も好きでした。クリエってたぶんそんなに舞台上が広くないと思うんですけど、トンネルみたいに奥行きを使ったり、舞台セットの高低差を生かして縦移動があったり、舞台の使い方が立体的で観ていてすごく楽しかったです!

ケンティーニ好きすぎる

(公式でケンティーニってよばれてるのかわいいなあ)

木内パガニーニの聡明な感じが大好き。血の契約を交わしたのはもちろん音楽人生に絶望しているからだと思うんですが、「血の契約を交わしたらどうなるか」をすべて考え尽くしたうえで契約していそうというか…理性が勝ったうえで自暴自棄になってる感じがして、観ていて苦しい…好き…。ケンティーニ、すごく人間ですごく人の子。

そういえば2幕のどこかで、アーシャがパガニーニの両手を握って振り回したらありえないくらいパガニーニ吹っ飛んでいきませんでしたか?笑 すっごいきれいに床を転がっていった。受け身が綺麗すぎてふふってなったんですが、あとでTwitter見たらたぶんあれはこの日偶然こうなったっぽい?身のこなし最高でした。

全体的にツンとした態度なのに、どうしても可愛らしさがにじみ出ているのが本当にかわいい。何がそうさせてるんでしょうね…?声がきれいだから?(??)なんかちょっとした仕草とか表情が可愛らしいんですよね。子供っぽいというか。だからより、悪魔と契約した事実を見せつけられると「うわーーーん(泣)」になる(わたしが)

ギャンブルが弱いところとか、寝ちゃってアルマンドにブランケットかけてもらうところとか、スペシャルキュート。晩年の(?)アルマンドに問いただされて「(麻薬も酒も)どっちも~~!」ってふにゃふにゃのぐでんぐでんになってるところすごい、かわいい。舞台から目を離せなかったけど心のなかで二度見した。アルマンドおじいちゃんもさぞ面倒の見がいがあるだろうよ…そとで散々ツンケンしてるのに家の中ではふにゃふにゃなんだから…。

でもバイオリン弾いたらかっこいいし、超絶技巧ダンスは艷やかで美しいし、そんなギャップ盛り盛りだからアムドゥスキアスもパガニーニにメロメロだったんだろうな…。

アルマンドパガニーニ

もう、ほんとに、最後のアルマンドに大泣き。アルマンドの「アンコーラはさぞ怖かったでしょう」みたいなセリフを聞いて、始めて「アンコーラ終わらない拍手」の歌詞の意味に気が付きました。本来アンコールは嬉しいものだと思うんですが、彼にとっては「死に近づく条件」「無駄に消費してしまうライフ」ということだったんですね…。やめてよ~~良すぎてマジ勘弁~~~!!最後にこのセリフ来るの~泣かせにきてる~~まんまと泣きました。

そういえば、アーシャもコスタもベルリオーズもうっすらアムドゥスキアスの気配を感じ取っていたり、見えてたりしましたよね。でもアルマンドだけはその素振りがなかったような。数少ない「アムドゥスキアスが見えていない人」なのに、100%パガニーニのことを信じていたってことですか…!?神に怒るし「アンコールが怖い」事もわかっているし…。そんなの…愛じゃぁん…。お母さんみたい。

アルマンドパガニーニのことを待ちくたびれて外で寝てしまったシーンがありましたが、アルマンドは家を守っているから外ではパガニーニの演奏を聴いてないんですよね?アルマンドが聴いたことあるのは家での演奏だけ、とかだったらそれはそれで良いな…。

帰ってきたときの機嫌でその日の演奏がうまくいったとか分かるのかな…。(悪魔と契約してるから演奏自体はうまくいくのか、公演自体がうまくいったかどうか?)山寺アルマンドパガニーニがわがまま言ったら「またそんなこと言って!あらあらこまりましたねぇ」とぷんすか怒りつつ、内心嬉しそう~~にしているのが目に浮かびます。執事と主人というより親子。ふしぎとアルマンドが忠犬に見えてくる瞬間もある。かわいい。

たまに街で聞くパガニーニの評判に鼻高々なアルマンド、居てほしい。

 

最後まで観て初めて、冒頭の「パガニーニがお墓に入れていない」くだりの事の重大さがわかりました。世間では悪魔と契約した演奏家として名を馳せたパガニーニを「人の子である」と信じて疑わなかったアルマンドが…パガニーニの最期を看取ったアルマンドが…それをアーシャに言って聞かせるとは…。うぅ…。アルマンドにとってどれほどつらく、誰とも共有できない孤独だったのでしょうか……。もうやめてください…。

アムちゃん可愛すぎる

巷でアムちゃんと呼ばれている(あっきーさんが呼んでいる)のかわいい。アムちゃん、まず仕草がかわいいですよね。声にも動きにも常に「♡」がついてる。酒場のシーンで人間に見えないのを良いことにちょっと好き勝手してるのとても可愛く好き。そして歌ったらあの美声なんだもん。すごい。

最後の演奏で、パガニーニママといっしょに客席で聴いてるのかわいすぎる。悪魔って、ちゃんと席座って聴くんだ。笑

こんな可愛い悪魔がいてたまるかーー!!!!

ラストシーンの話

パガニーニ VS アムドゥスキアスのところ…はラストシーンではないか。この勝負、絶対絶対パガニーニが勝ったと思った。散々アムドゥスキアスのために曲を捧げてきたところで、最後に「母親がパガニーニを愛していることが分かる曲」を、アムドゥスキアスに捧げるという。表向き、これを聴いている母親はちゃんと嬉しいし。アムドゥスキアスには「俺に捧げられてるけど1ミリも俺が介入する隙がない曲」に感じるという……。週間少年ジャンプかよバトルの発想!!!!天才か~!?うますぎる脚本が。助けて。最高すぎて「がはは」て声出た。絶対勝ったとおもったのに……負けてしもたパガニーニ…なぜ…。わからなすぎて終演後ともだちに助けを求めたら「勝負に勝って試合に負けたみたいなことでしょ?」と言われてとっっても腑に落ちました。つら。

「たすけて(ありがとう)」と思ったところ

音楽のこと全然分からないので変なこと言ってたらごめんなさいね。

ちょうどアムドゥスキアスと血の契約するあたりの「Cruel God」という曲。讃美歌っぽい曲調がます大好きなんですけど、歌詞が「冷たい楽器、死んでる楽器、どうしてどうして、楽器を持つたび怒りがこみ上げ、動け動けこの指」じゃないですか。これ聴いたとき、すごい、なんかもう、良すぎて帰りたくなっちゃった、しかもこの曲序盤じゃないですが「こんな序盤から最高到達点すぎてこの先どうしたらいいん情緒」と思いました。

「冷たい楽器死んでる楽器」って語彙、音楽家にしか出せん~…。そうなんだ、パガニーニにとってバイオリンって血が通ってるものなんだ…それを自分が殺してしまっていると思ってるんだ…そう…。「どうしてどうして」も木内さんの歌い方と歌声が相まって無力なこどもみたいじゃないですか…。そして「動け動けこの指」があんまり歌詞として表現されなそうなストレートさで、この曲に心臓ぎゃんぎゃんに握られました。

このフレーズから曲調がちょっと変わって、祈り感が強いというか、レースのカーテンが風にそよいでいるような儚さと空虚さがあって好きです。

 

あと最後のほうにパガニーニが杖ついて出てきたところ「たすけて~~」って思いました。あんなに元気にツンケンしてたのに、急にそんな弱くなって…。ていうか悪魔との契約ってそういう加速度の命の削り方だったん…という新しい発見。(100万曲って多すぎて命の刻み方どんなもんなん?と思っていたので)

杖ついて階段降りるとこでもアーシャは「大丈夫」とか「手伝うよ」とか言わないんですよね。今まで通りの接し方なの愛すぎて泣いちゃった。

いままで散々人に嫌な態度を取っていた人が、憑き物が落ちたように優しくなるところを見ると泣いてしまう。ベルリオーズ、最後優しくしてもらえてよかったね…。

アムちゃんこれどういう情緒で見てるの。アムドゥスキアスだってこんなに才能に溢れた男を手放したくないでしょ…そんな…100万曲ぽっちで失ってしまっていいんですか?どういう気持ですか。本当はずっと一緒にいたかったんじゃないんですか。

その他感じたこと、考えたこと

そういえば、アーシャとアルマンドってパガニーニが存命の間は会ったことない!?ですよね?いつもアーシャが侵入するのは「楽屋」であり家ではない。あだ名が楽屋猫だし。これ、家のシーンと楽屋セットの違いをうまく認識できませんでした!

そうすると、アーシャがパガニーニ没後「わざわざ家に訪ねてきた」ことの意味がかわってくる…うう、どこまでも抜かりなく良い……。

 

セリフや歌詞の表現がストレートだなぁと感じました。特に、よく名前を呼ぶなぁ…と思ったんですが、後から「朗読劇時代の名残かも?」と友達から聞いて膝を打ちました!ていうかこれ!もともと朗読劇だったのか!この情報量を朗読劇で…?すごすぎる。しかも山寺さんほとんど全役だったんですか、超人かな。まあそうか。

 

悪魔という存在

人生に迷ったものが遭遇するという十字路の悪魔、アムドゥスキアス。パガニーニも自分が天才ではないことに気づいて人生に迷い、アムドゥスキアスと契約してしまうわけですが、契約のシーンを観て「意外と条件緩いな!?」と思ったんですよね。なんかずっと「契約破ったらどうなる?」がわからなかったです。(災いが起こるって言ってた?)

100万曲って多いなと思ったし「すべてアムドゥスキアスに捧げよ」というのも限りなく精神論で、いくらでもちょろまかせそうと思いました。

私が好きな小説のシリーズに民俗学の教授が出てくるんですが、その小説の中で「人は信じたいものを信じる」「わからないことは怖いから、何かのせいにしようとする」とよく出てきます。呪いの正体も、本当は呪われているんじゃなくて、目の前の不可解な現象に理由がほしいから呪われたように感じ、信じてしまうのだと。十字路の悪魔もまさにそう。迷った時に指針を得るためにアムドゥスキアスという悪魔の存在が見え、すがったように見えました。楽器を弾くときも「絶対アムドゥスキアスに捧げる」という気持ちがあれば嫌でも演奏に集中するでしょうし。仮に一日50曲弾いたとしても54年かかるんですね100万曲って。ほぼ寿命やん~~。

やっぱり、この悪魔との契約は最初から存在しなくて(?)「信じない者勝ち」なのではとも思います。

あと、アルマンドはアムドゥスキアスのこと見えてなさそうだったけど、ほとんどの人がみえてましたよね。なのになぜアルマンドパガニーニの言い分を信じられるんだろうと思ったけど、もしかしてアルマンドは過去にアムドゥスキアスに会ったことがあるのかな…。だから今は見えなくても存在は信じたのかも。

アルマンドはもう人生に迷っていないんだろうな。パガニーニの執事という役目もありますしね。はぁ~~……味わい深すぎる。

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もはや毎秒最高だから書ききれない。もっともっと魅力的なところたくさんある。ストーリもキャラクターも音楽も舞台セットも照明も、全部最高でした。まだ公演期間あるのでともだち誘って観に行こうと思います。

ミュージカルクロスロード、上演してくださりありがとうございます。だいすきです。円盤ください。

 

では、シアタークリエに行ってきます。

 

おしまい