ででの日記

好きな話は何度したっていいもんね

3/21ミュージカル「マリー・キュリー」を観に行きました

3/21 マリー・キュリー

 

TLの評判がとっても良かったので!居ても立っても居られず当日券をもぎ取り行ってきました!ナイス祝日!ありがとう当日券!行動力にバンザイ!

 

んも〜〜〜すごくよかった……

 

はじめましての天王洲銀河劇場!ついに銀河劇場デビューを果たしました!(?)名前からして近未来的な内装を想像してたんですが、思いの外エレガントでびっくりしました。あと建物内にセブンイレブンとかカフェがあるの良かったな。しかし劇場の周りは何もないね

 

まずマリーキュリー役の愛希れいかさん、全身全霊でカッコ良すぎる。なんかこう雰囲気とか笑顔が可愛らしい方なんだけど(あとカテコがお茶目で可愛すぎた)、マリーキュリーの凜とした佇まいとか、男社会と未知の物体に物怖じせずガンガン自分の道を歩んでいくのがカッコよかった!あと歌がうまい!それはそう!

アンヌ役の清水くるみさん、可愛い〜!無邪気で明るくて元気で最高!可愛らしい歌声かと思いきやまっすぐで綺麗ですごく素敵だった。キュリーとはまた違った芯の強さがあって頼もしくて素敵だった

ピエールキュリーの上山竜治さん、歌がうまい……。気づいたらマリーキュリーと結婚してて私は「!!」となったんだけど、優しく正しくキュリーを愛していてすごくよかった

ルーベンの屋良さん!スラムドッグミリオネアぶりの屋良さん!歌声がすんごく好きです。1人だけ銀ピカのスーツに銀髪で存在感がすごい。けど平然と着こなしてるからすんなり受け入れてる自分がいた、おもろ。屋良さんのしなやかなダンス見られて嬉しかった!悪役の笑みがとてもよくお似合いですね……でも不思議と金儲けのがめつさはそこまで感じなかったな、品のある人でしたルーベン。

 

一旦「オモロ」になったとこ

ラジウムのイメージビデオみたいなシーンちょっと笑っちゃった笑。まさかそんなラジウムの解像度が高いミュージカルだとは思わず「んふふふ」になった。ラジウムって緑に光るんですね!勉強になった。(あ〜光る文字盤の時計って今ではよくあるけど当時は画期的なるほどってなりました。)このシーンのダンス楽しかったな〜〜本編(本編?)がズンと重いから、こういう感じのシーンあるのバランスがあってよかったです。

ところどころ「ミュージカルですこんにちはー!」って感じのシーンがあるの楽しかったー!

 

好きだったとこ

キュリーとアンヌのデュエット!そういえば女性と女性のデュエットシーン初めて観た気がする。すっごくよかったなぁぁぁ………

2人の無邪気な感じとか、尊敬し合ってるところとか、2人とも方向は違うけど前を向いてる感じとか、すっごく伝わってきて好きでした。

キュリーとアンヌはたまたま偶然出会っただけだし、キュリーはきっとアンヌに出会わなくても研究者としての道を歩んでいたと思うけど、キュリーにとって信じて背中を押してくれるアンヌの存在はとても大きかったんだろうなと目頭が熱くなった。だからこそラジウムの危険性がわかるシーンがつらかった

屋上の約束のシーン、お互いがお互いを尊敬し合っていることが伝わってきて泣いた。ずっと信じ合ってきたから真実を伝えても友情は壊れなかったんだなぁ。そして「ラジウムではなくあなたがすごいのよ」みたいなえっちょっとニュアンス違う気がする、けど、あなた自身がすごいのよ的なことをアンヌが言っているのが好きでした。

 

最後の方でルーベンが光を浴びてドンってなるとこ。あぁ〜世界はこのずる賢い人に掌握されるんだと若干絶望した。あそこ良かったな、あのシーンだけで鳴った低音怖くて良かった。

でもこの人がいたからキュリーは研究を続けられたし功績を残せたわけで………現実ー!!

 

元素の周期表を「地図」と言うのが素敵だなぁと思ったし、初対面で早口で元素の話をされても引かずに「おもしろそう」と思うアンヌが愛おしい。星空になるの素敵だったなぁ。あの後ろの壁の使い方、プロジェクションマッピングほど主張が強くなくて好きでした。

 

ルーベンとキュリーか歌うとこどんな歌詞だったか忘れちゃったけどメロディー好きでした。

 

ラットがどんどんおかしくなるところ、怖かったな。全員ダンスが上手い

 

アンヌが強引の机に花を置いていくところが切なかったな……

 

工員たちが明るい未来を歌うシーン。

希望に満ち溢れてキラキラしすぎていて辛かったしちょっと泣いた。給料の良さとか、ラジウムのすごさを笑顔いっぱいで語っているのがつらくてつらくて。

しかしここでつらいと思えるのは、先に待っている未来が明るくはないと想像できるからで……、そう考えると教育ってめちゃめちゃすごくない!?

私たちは学校の化学(理科?)の授業で習ったから放射線が何に使われているのかを知ってるし、人間に善も悪ももたらしてくれることを知っているからこのシーンで絶望できるわけで。そしてこの教育を受けられたのは今目の前で観ているマリーキュリーが研究を頑張って成果を残してくれたから、そして女性が学ぶ道を切り拓いてくれたから。

そう考えると、私たちの生活はたくさんの人の努力と勇気と犠牲によって切り開かれ、成り立っているんだな……となんとも壮大な気持ちになりました。ああ、観て良かったな……

 

未知の物質を研究するのってすごいな

途中までは、新しい発見ですごい!こんなことにもあんなことにも使える!って希望で満ち溢れていたけど、だんだん研究が進んで人体に影響があることが分かってくるのがすごく怖かった……。やっぱり教科書で読んでふんふんってなるのと、3時間に満たない時間だけどミュージカルを通してこの史実の流れを体感できるのとでは全然違うよね!これ学生の時に観たかった。

今は化学も発達してるしネットで調べればいろんなことがわかるし、それこそインターネットやら電波やらなんやら、目に見えないものが存在するって当たり前に理解ができるけど当時は「目に見えないけど未知の物質は存在する」と信じるのってすごい大変なことだったんだろうな。目に見えないものを証明するのってすごい。いやラジウムは光ってたか。んー、研究者ってすごいな。

 

アンヌはキュリーみたいにノーベル賞を獲ったわけでも偉大な功績を残したわけでもないけど、すごく輝いてたな。自分に自信を持って歩むことって素敵だなと思った。私もああなりたい。

キュリーは才能にかまけることなく楽しいという想いで研究し続けてるのが本当にすごい。努力って自分のことを信じられる人が続けられることなんだろうな。私もああなりたい。

 

音楽も演技も演出も全部良かったなぁ。

観てよかった!Twitterやっててよかった!(?)

素敵なミュージカルをありがとうございました。

最後まで無事に駆け抜けられますように。

 

おわり

3/21ミュージカル「マリー・キュリー」を観に行きました

3/21 マリー・キュリー

 

TLの評判がとっても良かったので!居ても立っても居られず当日券をもぎ取り行ってきました!ナイス祝日!ありがとう当日券!行動力にバンザイ!

 

んも〜〜〜すごくよかった……

 

はじめましての天王洲銀河劇場!ついに銀河劇場デビューを果たしました!(?)名前からして近未来的な内装を想像してたんですが、思いの外エレガントでびっくりしました。あと建物内にセブンイレブンとかカフェがあるの良かったな。しかし劇場の周りは何もないね

 

まずマリーキュリー役の愛希れいかさん、全身全霊でカッコ良すぎる。なんかこう雰囲気とか笑顔が可愛らしい方なんだけど(あとカテコがお茶目で可愛すぎた)、マリーキュリーの凜とした佇まいとか、男社会と未知の物体に物怖じせずガンガン自分の道を歩んでいくのがカッコよかった!あと歌がうまい!それはそう!

アンヌ役の清水くるみさん、可愛い〜!無邪気で明るくて元気で最高!可愛らしい歌声かと思いきやまっすぐで綺麗ですごく素敵だった。キュリーとはまた違った芯の強さがあって頼もしくて素敵だった

ピエールキュリーの上山竜治さん、歌がうまい……。気づいたらマリーキュリーと結婚してて私は「!!」となったんだけど、優しく正しくキュリーを愛していてすごくよかった

ルーベンの屋良さん!スラムドッグミリオネアぶりの屋良さん!歌声がすんごく好きです。1人だけ銀ピカのスーツに銀髪で存在感がすごい。けど平然と着こなしてるからすんなり受け入れてる自分がいた、おもろ。屋良さんのしなやかなダンス見られて嬉しかった!悪役の笑みがとてもよくお似合いですね……でも不思議と金儲けのがめつさはそこまで感じなかったな、品のある人でしたルーベン。

 

一旦「オモロ」になったとこ

ラジウムのイメージビデオみたいなシーンちょっと笑っちゃった笑。まさかそんなラジウムの解像度が高いミュージカルだとは思わず「んふふふ」になった。ラジウムって緑に光るんですね!勉強になった。(あ〜光る文字盤の時計って今ではよくあるけど当時は画期的なるほどってなりました。)このシーンのダンス楽しかったな〜〜本編(本編?)がズンと重いから、こういう感じのシーンあるのバランスがあってよかったです。

ところどころ「ミュージカルですこんにちはー!」って感じのシーンがあるの楽しかったー!

 

好きだったとこ

キュリーとアンヌのデュエット!そういえば女性と女性のデュエットシーン初めて観た気がする。すっごくよかったなぁぁぁ………

2人の無邪気な感じとか、尊敬し合ってるところとか、2人とも方向は違うけど前を向いてる感じとか、すっごく伝わってきて好きでした。

キュリーとアンヌはたまたま偶然出会っただけだし、キュリーはきっとアンヌに出会わなくても研究者としての道を歩んでいたと思うけど、キュリーにとって信じて背中を押してくれるアンヌの存在はとても大きかったんだろうなと目頭が熱くなった。だからこそラジウムの危険性がわかるシーンがつらかった

屋上の約束のシーン、お互いがお互いを尊敬し合っていることが伝わってきて泣いた。ずっと信じ合ってきたから真実を伝えても友情は壊れなかったんだなぁ。そして「ラジウムではなくあなたがすごいのよ」みたいなえっちょっとニュアンス違う気がする、けど、あなた自身がすごいのよ的なことをアンヌが言っているのが好きでした。

 

最後の方でルーベンが光を浴びてドンってなるとこ。あぁ〜世界はこのずる賢い人に掌握されるんだと若干絶望した。あそこ良かったな、あのシーンだけで鳴った低音怖くて良かった。

でもこの人がいたからキュリーは研究を続けられたし功績を残せたわけで………現実ー!!

 

元素の周期表を「地図」と言うのが素敵だなぁと思ったし、初対面で早口で元素の話をされても引かずに「おもしろそう」と思うアンヌが愛おしい。星空になるの素敵だったなぁ。あの後ろの壁の使い方、プロジェクションマッピングほど主張が強くなくて好きでした。

 

ルーベンとキュリーか歌うとこどんな歌詞だったか忘れちゃったけどメロディー好きでした。

 

ラットがどんどんおかしくなるところ、怖かったな。全員ダンスが上手い

 

アンヌが強引の机に花を置いていくところが切なかったな……

 

工員たちが明るい未来を歌うシーン。

希望に満ち溢れてキラキラしすぎていて辛かったしちょっと泣いた。給料の良さとか、ラジウムのすごさを笑顔いっぱいで語っているのがつらくてつらくて。

しかしここでつらいと思えるのは、先に待っている未来が明るくはないと想像できるからで……、そう考えると教育ってめちゃめちゃすごくない!?

私たちは学校の化学(理科?)の授業で習ったから放射線が何に使われているのかを知ってるし、人間に善も悪ももたらしてくれることを知っているからこのシーンで絶望できるわけで。そしてこの教育を受けられたのは今目の前で観ているマリーキュリーが研究を頑張って成果を残してくれたから、そして女性が学ぶ道を切り拓いてくれたから。

そう考えると、私たちの生活はたくさんの人の努力と勇気と犠牲によって切り開かれ、成り立っているんだな……となんとも壮大な気持ちになりました。ああ、観て良かったな……

 

未知の物質を研究するのってすごいな

途中までは、新しい発見ですごい!こんなことにもあんなことにも使える!って希望で満ち溢れていたけど、だんだん研究が進んで人体に影響があることが分かってくるのがすごく怖かった……。やっぱり教科書で読んでふんふんってなるのと、3時間に満たない時間だけどミュージカルを通してこの史実の流れを体感できるのとでは全然違うよね!これ学生の時に観たかった。

今は化学も発達してるしネットで調べればいろんなことがわかるし、それこそインターネットやら電波やらなんやら、目に見えないものが存在するって当たり前に理解ができるけど当時は「目に見えないけど未知の物質は存在する」と信じるのってすごい大変なことだったんだろうな。目に見えないものを証明するのってすごい。いやラジウムは光ってたか。んー、研究者ってすごいな。

 

アンヌはキュリーみたいにノーベル賞を獲ったわけでも偉大な功績を残したわけでもないけど、すごく輝いてたな。自分に自信を持って歩むことって素敵だなと思った。私もああなりたい。

キュリーは才能にかまけることなく楽しいという想いで研究し続けてるのが本当にすごい。努力って自分のことを信じられる人が続けられることなんだろうな。私もああなりたい。

 

音楽も演技も演出も全部良かったなぁ。

観てよかった!Twitterやっててよかった!(?)

素敵なミュージカルをありがとうございました。

最後まで無事に駆け抜けられますように。

 

おわり

ここはファミマじゃない

本にはさまざまなジャンルがある。

文学だけを取っても、文芸・評論・随筆・ミステリー・時代小説・SF……など。

そして私が特に好きなのがミステリー、もっというと「日常の謎」というジャンルである。

日常の謎」とは言葉通り、日常に落ちているふとした謎と、その謎を解明する過程を描いたジャンルである。ミステリーだからといって人が死ななくてもいいし、誰かが不幸になる必要もない。

謎を解くのは職業:探偵だけではない。「日常の謎」を前にすれば、子供からお年寄りまで誰しも探偵になりうるのである。

そして、いつか不可思議な体験をしてみたいと思ってはいたが、ついに出会ってしまったのである。日常の謎に。

 

時は数年前。私は本屋でのんびりと小説を眺めていた。店内BGMの流れない空間で聞こえてくる音は少ない。

レジの接客の声に人々が行き交う足音。そして紙を捲るおファミファミファミ〜マファミファミマ〜♪

 

何?

 

本屋らしからぬ音が聞こえてきた。

ファミファミファミ〜マファミファミマ〜♪

お分かりいただけただろうか、この音楽。そう、緑色の看板が目印・ファミリーマートの入店音である。

そんなわけないだろ、ここ本屋だぞ。

 

聞き間違いだと思った。しかしこのことを忘れかけていたある日、また同じ音を聞いた。

本物のファミマから漏れ聞こえてきた音かもしれないと思った。しかしファミマは道路を挟んで向かいにある。遠すぎる。

 

通気口を辿って?

誰かがイタズラでスマホから鳴らしている?

鼻歌?

幻聴?

 

様々な可能性を考えたが、どれも当てはまりそうになかった。なぜなら、音量が店内放送だからである。

「本屋が意図的にこの音楽を流している」事実には納得したとして、なぜこの音楽なのか、どのタイミングで鳴るものなのか謎が深まるばかりである。

 

ちなみにこの謎、電化製品が好きな人は分かるかもしれない。

 

特に調査をしているわけではなかったが、この本屋が駅前という好立地にあるおかげで、よく足を運んでいた。よく行っていた割にはファミマの入店音が鳴るのは数ヶ月に1回。合計10回も聴いていないと思う。

(聞き間違いかもと思っていた矢先、ついに友人を連れている時にファミマ入店音を聴くことに成功し、晴れて幻聴説は否定されたのである)

入店音が聞こえたら、その場で曜日やら日付やらを確認はしていた。

しかし、○曜日限定や祝日など何か特定の日に鳴るわけではなさそうである。

鳴るのは昼間だったり夜だったり、時間帯も関係なさそう。もちろん、時報のように○時きっかりに鳴るわけでもなさそうである。

 

初心に戻って、本屋の入店音である可能性を考えてみた。しかしそんなことはありえない。入店音ならもっと頻繁に鳴るはずだし、何より自分が入店した瞬間に聴いたことは一度もない。(我々には見えない何かが入店することを察知していたら話は別だが)

では「おめでとうございます!入店○人目です!」と祝う音楽というのはどうだろう。これもありえない。ファミマの入店音が鳴っても、喜ぶ客は誰1人いないからだ。(こんなにこの現象に疑問を抱いているのは恐らく私だけである)

 

……という具合に、初めて本屋でファミマの入店音を聴いてから3年ほどが経った。

ついに、あっさりこの謎が解ける日が来たのである。

 

夜7時。漫画を手に取りレジに向かった。1枠しか開いていなかったレジは埋まっており、私は列の1番前に並んだ。しかしその、ちょうどレジの順番だった人が店員さんに本のお問合せをしていたらしい。レジ担当の人がお客さんとやり取りをしつつ、後ろで1人がパソコンと睨み合い、さらにもう1人がサポートに回っていた。圧倒的に時間がかかりそう、かつ人員不足である。

そんな折、サポート役だったであろう店員がレジスペースの右端から左端へと走っていき、何かを押した。

そして店内に鳴り響いたのである、あの

ファミファミファミ〜マファミファミマ〜♪

が。

 

これが噂の「忙しいボタン」!(※ドラマ「ブラッシュアップライフ」より引用)

なるほど…………と全ての謎が解け感動していたところで店員さんが走ってきて「お待たせいたしました、こちらのレジどうぞ」と片手を挙げたのである。ハイタッチしようかと思った。

 

真相が分かってしまえば大したことではない。「本屋でたまに鳴るファミマの入店音」は「レジが混んだ時に人手が足りないことを知らせるチャイム」だったのである。

 

しかしこの謎、正解を自力で導き出すのはかなり難しいのではないだろうか。

まず「忙しくてチャイムを鳴らす」という現象は多くの条件が重ならないと起こらない。「店が混んでいる」だけでは不十分で、「レジに人が並びはじめたタイミング」かつ「レジの人が足りない」ジャストなタイミングである必要がある。

レジに長蛇の列ができていたとしても、レジがフル稼働もしくは手空きの店員がいなければこのチャイムは鳴らないのである。

そして今まで、このチャイムを聴いた場所がレジの見えない場所だったことが、この謎をより深めたのだと思う。基本的に本棚に遮られてレジの列は見えないし、レジの混雑状況は本棚側の混雑状況を見ても予測できないものである。

そして私は「忙しいボタン」がある文化圏で働いたことがなかったため、その発想に至らなかったのである。

 

さて、入店音が鳴るタイミングの謎は解けたとしてもうひとつ疑問が残る。なぜあの音楽なんだ。なぜ本屋で……。

てっきり、あの音楽はファミマの専売特許だと思っていた。しかしどうやら違うらしい。全ての答えはここにあった。

「ファミマ入店音」の正式なタイトルは「大盛況」に決まりました :: デイリーポータルZ

この記事面白かったのでぜひ読んでほしい。超要約すると、ファミマの入店音はパナソニックの製品に使われており、ファミリーマートのドアがたまたまパナソニック製品だったということらしい。そうだったのか。そんで曲名あったのか。そして、ファミマ入店音が入ったドアホンは今でも買えるらしい。ほんまや、ふつうにAmazonで売ってる。

おそらく、本屋で「忙しいボタン」として使っているチャイムがパナソニック製なのだろう。

 

これで無事「なぜか本屋でたまに鳴るファミマの入店音」という日常の謎は解き明かされたのである。

 

めでたしめでたし。

木村達成10周年コンサート-Alphabet Knee Attack-の感想

木村達成10周年コンサート-Alphabet Knee Attack- @ヒューリックホール東京

開催おめでとうございました。そして、木村達成さん10周年おめでとうございました。

のそのそしていたらあっという間に年末どころか年始を通り過ぎ、2月になってしまった……。時が経つのはあっという間ですね。ライブ当日は「まだまだ先だなぁ」と思っていたWOWOWの放送・配信も気がつけばもう来週ですね。たのしみたのしみ!

www.wowow.co.jp

 

以下、コンサートを観たあとに書いていた感想です。レポではありません。悪しからず。

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音楽に疎いためセトリの7割が分からなかったのですが、とても楽しかったです。幸せな時間でした。ああ、夢のような時間だった…。

はじめましてのヒューリックホール!

有楽町には日生劇場とか帝劇とかシアタークリエとかで何度か行ったことがあったけど、駅のあっち側に行ったのは初めてでした。商業施設の中に入ってるタイプのホールってなんか不思議な気持ちになるなぁ〜と紀伊國屋ホールを思い出しつつ、エレベーターを上がりました。ぽんと足を踏み入れると日常の中に非日常が広がってる感じがおもしろい。

終演後はエレベーターが混んでいたのでエスカレーターを使って降りたのですが、なんだかさっきまで観ていたものが日常よく見る光景に上書きされてしまうような気がして「ああ……」となりました。そこも含めておもしろ体験。

 

Twitterでコンサートの歌唱曲をリクエストしていましたが、引用リツイート形式だったおかげで色んな人のリクエスト曲が見られるのが楽しかったです。Twitterを眺めていて、達成さんが今まで出演されてきた作品だけでなく、邦楽・洋楽・ミュージカル・昭和歌謡曲…といろんなジャンルからいろんな作品・歌手の楽曲がリクエストされているのが印象的でした。彼のイメージが固定されていないことの表れな気がして、木村達成さんの魅力は計り知れないなと思いました。

あと「木村達成さんにはこの曲の雰囲気が似合うよね」とか「木村達成さんはこういう曲が好きだよね」とか、ファンの方がいろんな観点から愛を持って選んだ曲がたくさんあったんだなと思うと、とてもほっこりした気持ちになりました。ファンの方の愛が深いし、たつなりさんがたくさんの人に愛されている…やさしくて素敵な世界ね…………。

 

セトリはもう、ね…!達成さんらしさというか、いや私は達成さんのことを何も知らないけれども。知らないけど解釈一致が止まらなかったです。こういう曲好きそう!とか、この尖ってる歌詞似合うね!とかそういう解釈一致。

謡曲パートは、過去の配信で歌った曲しか知ってる曲がなかったのですが、とにかく全部うまい…歌がうまいのは知ってる……うまい……深くて透き通ってて響く声……。

印象的だったのは歌詞に「ふたり」と出てきた時にピースをしたり、歌詞に合わせて表情が変わるところ。役者だなぁと、ときめきました。

ギザギザハートの子守唄の『仲間がバイクで死んだのさ とってもいい奴だったのに』のところで、まず私は曲を知らなかったためシンプルに「し、死んだ………」と驚きました、ヒューリックホールで。その時の達成さんの、幼き頃から苦楽を共にしてきた友人を亡くしたかのような切なさと悔しさがこもった歌い方、そして表情…!!!!私は「し、死んだ……」と同時に「大丈夫?話聞こうか……?」と思いました。(訳:コンサート歌唱でのワンフレーズに込められた感情がすごすぎて、役者・木村達成がとても尊かったです)

謡曲もJ-popも歌っている姿がとても楽しそうで、観ていて幸せでした。

あと、歌い終わったときに両腕を広げて首を傾げる姿が、ホールに響く音楽を包み込んで「どうでしたか?」と観客に問いかけているみたいでとても素敵でした。

 

全体を通して選曲がとても好きでした。特にミュージカルパートは、未来に目を向けている曲、ありのままの自分を肯定している曲が多いのが印象的でした。たつなりさんの自分で歩く道は自分で決める生き方がカッコいいなと感じているのですが、今回選ばれた音楽からも彼の生き方を感じられた気がして、とても…とても素敵でした!

コンサートを観る前は「君嘘のあの曲もこの曲も聴けたら嬉しいなぁ〜」と思っていましたが、コンサートが全編終了した後に、そんな願いは吹っ飛びました。(あの中から「ソロで歌える曲」を選ぶとしたら構成的にも曲調的にもやっぱり「映画みたいに」だと思うけど、)それ以上に、あの曲は達成さんが「『未来に希望を持っている』と解釈している曲」だったことを思い出したからです。

『四月は君の噓』木村達成インタビュー:“これが愛”と思える瞬間 - Musical Theater Japan

最後までコンサートを観て、「君嘘の曲の中で、今回のライブのセトリで一番輝く曲はこれだよなぁ……………」とうっとりしてしまいました。どういう経緯で選ばれたのか本当のところは分からないけど、私はこのセトリの中にこの曲があった事実がとても好きです。

 

達成さんには勝手に「愛され力のある人」というイメージを持っていましたが、司会の川久保さん、ゲストの加藤和樹さん柿澤勇人さんとのやりとりを観て、達成さんが愛されているのは、達成さんが周りの人を愛しているからなんだなぁ……と感じました。話し方やはしゃぎ方から、達成さんのお人柄が伝わってくるコンサートでした。

 

TJこと川久保さんのMC、安定感が抜群ですごかったです。常に一定のトーンで、達成さんのどんな言葉も包み込んで肯定する姿はそう…まるでオタクのようでした……(?)。達成さんとのデュエットが本当に楽しそう(そして達成さんがスペシャルかわいくて)最高でした!川久保さんの丁寧なMCの中に時折混ぜられる鋭いツッコミ(なかなかない表現ですね~!など)に普段からの仲の良さを伺いつつ「私は真の川久保さんの姿を知らないのかもしれない」と思いました。(徐々にグリブラ追っていきたい)

加藤和樹さんはさすがの兄貴で「10周年の木村達成とファンに向けて」とソロ曲を選曲されていたところにときめきました。Weaving Through a Windowの爽やかで前向きな感じが好きで、今も聴いています。

柿澤勇人さん…かっきー!まさかデスノートを歌ってくれるとは思わずびっくりしました。絶対「時が来た」だと思った、タイミング的に。5億年ぶりに生でこの曲を聴くことができ、私はもう思い残すことはありません。

あとなんか…私はかっきーには勝手に品行方正なイメージを持っていて、さらに達成さんと共通点があるという部分にピンときていなかったのですが(達成さんが品行方正でないと言っているわけではありません)……このコンサートを観て「なるほどな!!!!!」になりました。なんだ、かっきーもおもしれぇ男だったのか……そうか…最高だな…と思いました。リクエスト跳ね除けて宇宙刑事ギャバン歌ってるの最高でしたね。

和樹さんと居るときは比較的静かだった達成さんが、かっきーと居るときはヤンチャ坊主になっていたのがとてもおもしろかったです。かっきーの前で何回達成さんが「エグいて〜!」と言っていたことか…笑。早くWOWOWで観たい!笑

 

あと冷静に考えてセトリの中で持ち曲が「映画みたいに」だけだったの本当にすごくて本当に好きです。大胆。「10周年」とタイトルに入っていたら、彼がやってきたものをたくさん披露するイメージを持つじゃないですか。

でも蓋を開けてみたら「10年間いろんな道を歩んできた"今の木村達成"」のソロコンサートだった。私は新参者ですが、ぜんぜん置いていかれずに楽しむことができました。木村達成さんが歩んできた10年のうちの、どのタイミングで出会った人も、フラットに楽しめるコンサートだったなと思います。

「過去の出演作から本役でない曲を選ぶ」というのが、絶妙に誰も予想ができなくて、でも達成さんをずっと応援してきた人も最近応援し始めた人も、各々の想いを持って楽しめる。そのバランスを生み出していて本当にすごい。達成さんが初めて出演されたグランドミュージカル作品「ラ・カージュ・オ・フォール」を劇場で観ていた方が「ありのままの私」を聴いたら、きっと特別な気持ちがたくさんよみがえるんだろうなぁ…と胸がいっぱいになりました。

 

このコンサートが決まったときのコメントに「この先の未来を、皆様にプレゼント」という言葉がありましたが、本当にその言葉通りのコンサートだったなと思います。きっとこれからも、達成さんが歩みたい道を達成さんが選んで、歩んでいくんだろうなぁと感じるコンサートでした。

これからも、達成さんがすこやかに楽しく、歩みたい道を歩めますように。

 

おわり

 

-------------

おまけ:どうでもいい話

  • コンサートの2週間くらい前に家の鍵をなくしました。ヒューリックホールのロビーで「夢の中へ」が流れていましたね。達成さんの選曲だろうな~と思いつつ、『探しものはなんですか~』と聴こえてきた時「家の鍵です…………」と思いました。沁みるぜ……。(本当に見つからなかったので合鍵を作りました。2本作って8000円でした、oh……。2023年はなくさないぞ)
  • ライブ2日目に追い蕎麦しました。物販で「お蕎麦2つくださーい」と言ったとき「なんか違うな」と思いました。(お蕎麦屋さん…?)ショッパーを買わなかったので年越し蕎麦を生身で2本持つことになり、ヒューリックホールのロビーで両手に武器を携える感じになってしまいました。
  • ニーアタグッズの年越し蕎麦が友人(フォロワー)間で大変好評で「ライブグッズに年越しそばがあるの今年一番面白い」と言ってもらえました。そうでしょう、そうでしょう。よく見て、写真も最高なんだから。大晦日にはフォロワーが「あの蕎麦がどうなったか自分の年越し蕎麦食べながら気になってた」と気にかけてくれました。最高だよライブグッズ年越し蕎麦。ありがとう年越し蕎麦。
  • ライブグッズのお蕎麦は無事に年越しそばとなりました。こんなに年越し蕎麦が楽しみな大晦日は初めてでした。なんて良い一年の締めくくり!

    としこしそば
    -------------

舞台「管理人 THE CARETAKER」11/26.27マチネ公演を観劇しました

舞台「管理人 THE CARETAKER」11/26.27マチネ公演を観劇しました。

1週間ぶりに観ると、台詞は変わっていないのに変化しているところがたくさんあって、芝居を観ることの楽しさを体感できました。

 

11/26のレポ的なもの

・デーヴィスの缶を仕舞ってまた取り出すところが今回は秒速だった。全体的にテンポが早かった気がする?

・デーヴィスが前に見た時より元気な印象!ゆったりもったりしていた動きが若干チャキチャキしていたような

・カバン投げの時にミックの髪が一束ぺろんと乱れたんだけど、下手側を向いてまた上手側に向き直る時に首をぐいんってしてノーハンドで髪を整えていた。そしてその後手で髪を撫でつけていた。

・ミックが「壁に回転式の棚を作る」と言う時に「床」から入ってしまい、「床……あ、壁…!壁に回転式の棚を作る!」ってその場で思いついた感じに言い直していた。さすがのリカバリー力…!

・最後のほうのミックはずっと革ジャンの後ろがぺろんとめくれていて可愛かった

・大仏は噂通り3個に弾けていた

・笑いが起きる回数が比較的控えめだった気がするけど、一発がデカくて楽しかった。特にカバン投げ!

 

11/27のレポ的なもの

・ミックがデーヴィスを襲おうと後ろから詰め寄るシーン。だるまさんがころんだになった時、止まったのが足を閉じ気味のタイミングだったがためにちょっとヨロけていて可愛かった。

・デーヴィスがポケットからマッチかナイフを取り出した時にコインが床に落ちてしまったんだけど、その後のシーンや暗転を経て、ミックが話しながらさりげなくコインを拾い上げていてグッときた。舞台役者…。もうあのコイン拾うタイミングなさそうだから最後までそのままいくのかなと思ってた……。

・ミックの宮殿の話の最後が確か「ランプ」で終わりだったと思うんだけど、甘噛みして「ランph…」になってて可愛かった

・ミックが下手側から移動してくる時に木箱の横に置いてあった黒いライト(?)にちょっと躓いてた

・アストンがテーブル(木箱?)にマッチ置いたら落ちちゃって、立ち上がって拾い上げてたの好きだった

・掃除機かける時に積み重ねてた木箱にドカンドカン掃除機ぶつけて山崩してたのおもしろ大胆で好き(これはいつもかな?)

・ズボンが片方ブーツインになってておしゃれになっちゃうミック

 

個人的好きシーン

・ミックが暗がりでマッチ箱を探すシーン。足でちょんちょんちょんってマッチ箱探して、探し当てたらしゃがんでサクッと拾い上げるところがとても好き。

・デーヴィスが大きい缶を開けて「ネジ!」って言うところ。言い方が面白くて大好きなんだけど周り誰も笑ってないからいつも我慢してる。

・ミックがデーヴィスの前で鍵をチャッてするところ。(※空中に軽く放って素早くつかむ)

マジシャンみたいで好き。

・アストンが片付けする時結構雑なところ。でもジャケットはちゃんとハンガーにかけるところ。

・ゔーっ!って威嚇するミック。猫?ライオン?

・ミックの威嚇にちゃんとやられるデーヴィス。ビームでも出てるんか…

・ミックの契約の話のところの「ダブルチェック!」で急にCM度がめちゃめちゃ上がるところ。テレビCMみたいで大好き。

・ミックがアストンの弟と判明した時にデーヴィスが放つ「え」

・丸めた絨毯を枕にして寝転がるミック。青春大学生みたいで好き。(青春大学生?)

 

感想とか

11/26に書いた分↓

・初めて冒頭のミックが何をしているのかに注目した。(いつもミックが"居る"ことに感動して物語を観るモードになれていなかったんですね)暗い部屋でガラクタを見回し、アストンに想いを馳せていて、兄のことをとても気にかけているんだなというのがよく分かる。アストンのどうにもならなさとの葛藤、そのことを受け入れて自分は彼に寄り添うんだという意志を感じた。でもアストンが帰ってくる音がしたら退散するのは、なんでだろう?恥ずかしいから…?(絶対そんな軽い話ではない)

・冒頭のアストンのお片付けを観ていると、物を溜め込む割には雑に扱ったり、とりあえず邪魔なものをぽいぽーいって退かしていることに気づいて意外だった。きちんとしていそうなのに。アストン、お掃除とお片付け好きだけど苦手そうだなと思った。やってるつもりなのに周りから「できてない」と言われるあれ。2週に1回の掃除とても少ないなと思ったけど、ミックはアストンの掃除後の部屋(アストンが片付けたつもりだけど逆に散らかってる)を修復する作業に徹しているのかもしれないなと思った。仕事で遅くなっても部屋に来て掃除しているミックえらい。

・アストンの独白を聞いて、こんなに酷いことをされるのにお母さんはなんで書類にサインをしたんだろうとずっと思ってた。けど「治す方法は1つしかない」と言われたら、藁にもすがる思いでサインをしてしまうかもしれないと思った。そもそもアストンに治療が必要だったのかは分からないけれど。

情報はネット以外から得る時代。しかも比較的貧しい暮らしをしていたなら最先端の情報なんて手に入らなかったと思うから、医者から言われた「治す方法は一つしかない」は魔法の言葉に思えたのかもしれない。

(そもそも貧しい暮らしをしていたのかな?あの部屋を見ると貧しそうに見えるけど、あの部屋がいつからボロボロなのかは分からないし、アストンの治療費を工面したために貧乏になったのかもしれない)

そしてミックにとってアストンは「病院から帰ってきたら前と様子が変わっていたお兄ちゃん」になるわけだから、そりゃ気にかけるし心配するよな……と思った。病院から帰ってきたら元気になると思っていたら様子が変わっているの悲しすぎる。

 

11/27に書いた分↓

・アストンの言う「拾ってきた」

最初はアストンのことをガラクタばっかり拾ってきてどうしようもない人だなぁと思っていたけど、どこかのシーンを観て「デーヴィスのことが放っておけないから連れてきた」というニュアンスをとても感じた(どのシーンどの台詞かは忘れてしまったが…)

あっ、ミックがデーヴィスに「あんた友達だろ?」って言ったところかも…!そのシーンで、拾われてきたデーヴィスがアストンの友達なのか…と思って…。

デーヴィスも拾われてきたガラクタと考えると、アストンは拾ってきた物に対しても「可哀想」であったり「救いたい」であったり、何か手を差し伸べたいと思っているのかなと感じて。私たちには部屋にある物がただのガラクタにしか見えなくても、アストンにとっては救ってあげた友達の1人で、デーヴィス含むガラクタはたぶん全部友達なんだな……と思いました。言葉では「鉄屑」とか言っているミックも、心では部屋のガラクタたちがアストンにとっての何なのか、理解しているのかもしれないなと思いました。アストンの「拾ってきた」は「救ってきた」なのかもしれない。

 

・ミックがアストンのことを「仕事が嫌い」と言うのが意外だった。アストンの話の中の、手仕事が好きで小屋を作りたいと言っているのが印象的だったからだと思う。

でも、アストンの独白の中の「もう人には会わない」的な「人の集まるところには行かない」的な話を聞いて、ミックの言う「仕事が嫌い」というのは「定職に就いてくれない・コミュニティに属してくれない」ということか〜と納得がいった。そういえばミックも「もっと社会に目を向けてほしい」も言っていたし。

 

・ミックの「家具付きの家と見るか家具なしの家と見るか」というセリフを聞いて「家具」の中に「アストン」も入っているのかと思った。けど話の文脈的に違う気がした。

 

質感が好きな映像作品がいくつかあるのですが(オールドファッションカップケーキとか)この舞台もそのうちのひとつだなと思いました。小道具とか照明とかサイズ感とか、画面を通して見ているわけではないけど質感が好きです。

 

終わり方がふわっとしてるけど、私はあの感じ好きです。きっとあの3人はまた元に戻って、今まで通りの変わらない日々を過ごすことになるんだろうなと思わせるラスト。映画のフィルムの途中をバツンと切り取ってきたようで好きです。

 

この舞台は点と点が繋がって線になる瞬間がたくさんある舞台だなと思いました。分からなかった言葉が、その後の発言を聞いて「あっそういうこと…かも?」と繋がる瞬間がとても楽しい。

会話はちぐはぐだけど、1人が主張していることは一貫しているからきちんと点と点が繋がるんだなぁ……。

分からないことはたくさんあるけどイライラしないのってすごいことだなと思います。キャラクターそれぞれ人格がブレることがないし、行動原理に本気で「なんで!?」って思うことがないからかな。

全員、絶妙なにどうしようもない人物だけど、誰にも迷惑はかけてない……と言うと語弊があるか…。誰も誰かを傷つけてはいない…(ミックの言葉は強いが…)からストレス少なく観られるのかなと思いました。

分からないことに対して「何でだよ(イラッ)」になるんじゃなくて「分からないからあの話をもう一回聞きたいな」と探求心が生まれるところが私的この舞台の好きなところです。

 

兵庫公演もたのしみ!

 

おわり

舞台「管理人 THE CARETAKER」11/20マチネ公演を観劇しました

舞台「管理人 THE CARETAKER」11/20マチネ公演を観劇しました。

2回目だったので前回よりも落ち着いて物語の流れを追うことができました。一度観ただけでも置いて行かれることはなく、でも観れば観るほど気になることが増えていく、考察と観劇を繰り返したくなる舞台だなと感じました。一度観ただけでも面白い、何度観ても面白い舞台は尊いですね。そんな舞台を観るきっかけを与えてくれてありがとう木村達成さんの気持ちです。

 

思いついたことをざっくり!

 

デーヴィスとアストンを観た時には思わなかったけど、ミックがセリフを発した時に初めて「そうだ、これ外国の物語だったんだ」と思った。デーヴィスは「こういうおじいちゃん見たことある」という感じだし、アストンの落ち着いたトーンで話す感じも「よく居る」人だなという印象。アストンに関しては、後半の独白を観るまで特筆することがない人だなと思った。(デーヴィスのキャラが濃くてアストンの違和感に自分があまり気づいていないだけなのは大いにある)

しかしミックの煽りや豊かな表情、テンポの良い会話をみて「外国人だなぁ」と思った。ミックのような調子の良い青年は日本にはあまり居ないキャラクターだから、そう感じたのかもしれない。もしくは、私が今までそういうキャラクターの人と交わることがなかったからだと思う。

デーヴィスの人種差別的な発言を聞いて眉をひそめたけれど、形を変えて自分に跳ね返ってきたようで苦い気持ちになった。

 

アストンに最初は低い姿勢でいるデーヴィス。でもペコペコしているわけでもなく、自信が無さそうなわけでもなく「自分は〇〇なんだよ」と自分の軸はぶらさないところが図々しくて印象的だった。恐らく長いあいだ、世の中からちょっと外れて生きてきた人だけど、チャーミングさや図太い神経をうまく使って、彼なりに上手に世を渡り歩いてきたんだろうなと感じた。気づいたらアストンに新しい靴をお願いしているし。人の懐に入るのがうまいのかなデーヴィスは。アストンの懐がガバガバなだけかもしれないな。

 

舞台上で必ず誰かが誰かを下に見ているのがしんどいところであり、その上下関係が二転三転していくのが面白いところだなと思った。

屋根を与えてくれたアストンに当社比低姿勢でいるデーヴィス。低姿勢ではあるけど靴をねだったり、あれがないこれがないと婉曲的におねだりをするのがとても図々しい。

ミックが現れ、彼の方がアストンより上だと判断した途端ミックに擦り寄るデーヴィス。だんだんとアストンへの態度も横暴になっていくのが滑稽。強い者を味方につけて渡り歩こうという姿勢が愚か……だけどそこがデーヴィスの賢さなのかもしれない。

 

アストンがデーヴィスを家に泊まらせてあげるのは、彼の優しさゆえの行動だと最初は思ってた。デーヴィスに優しくする事で、水底でたゆたっているような生き方に意義を見出したかったのでは?と。

でも「家に泊まらせてあげる」「カバンを取ってきてあげる」という彼の優しさに見える行動は、アストンがデーヴィスを下に見ているからこそ堂々と与えられる施しなのではないかと思った。もしデーヴィスが今の状況に劣等感を抱いていて「アストンに下に見られている」と感じていたら、状況は変わっていたのかもしれない。

優しさと善意の押し付けって何が違うんだろう…。与える側の人柄か、受け取る側の心持ちか…。言葉の選び方や振る舞い、自分ももう一度見直そう……。

 

ミックが夢を語るシーンで「宮殿」と言った時に照明がパッと明るくなる演出が好き。

 

舞台管理人、人間が人間していて大好き。でもそれと同時にコミカルで演劇的な動き(?)が共存しているところも好き。カバン枕投げ(仮名)シーンの無音の中の動きや、ミックとデーヴィスの取っ組み合いは作画が急にアニメになったようで面白くて可愛い。

 

ミックの暴力的な部分・言葉の荒い部分は、戯曲を読んだ時にもっと怖いシーンを想像したけれど、動きや表情のコミカルさ・会話のテンポの良さで怖さが和らいでいるのが絶妙なバランス感覚だなと思う。内容的に、観ていてもっと気分の悪くなるような、怖い思いをするような演劇にいくらでもできそうなのに、クスッと笑えるテイストになっているのがすごい。天才。

あとミックが思いのほか怖くないのは、乱雑な言葉が不思議と相手に吐き捨てているようには聞こえないからかなと思った。相手を傷つけるために乱暴な言葉を選んでいるのではなく、ただ性格がそうさせているだけな気がする。

 

小屋を建てないと次に進めないと主張するアストン。

書類を取りに行くと言うデーヴィス。

改築したいと言うミック。

全員、粒度は違えど前に進むためのトリガーを分かっているのに、誰一人として自分からそこに向かって行動する者はいない。ままならない現実と人間のどうしようもなさが思い出されて苦しい……。

小屋を建てる場所も資材も揃っていて、常に何かしら手を動かしているのに、決して小屋を建てるための行動は取ろうとしないアストン。

靴がないことを言い訳になかなか書類を取りに行こうとしないデーヴィス。

人一倍細かく理想を語るミック。

全員、物事を成し遂げるために動こうとせず、自分ではなく他人を使おうとしているところが、言い訳がましくて無責任で、でもそれがリアル。

「〇〇をすれば次に進める」という考え方は、逆を言えば「〇〇を成し遂げるまでは、その状況に居座り続ける免罪符になる」ということで、いくらでも自分に言い訳できてしまう。やればできる子YDK……。そしてもちろん自分にもそういう部分があって、観た後でじわ…と嫌な気持ちが滲みますね……。

 

ミックが「書類を取りに行ってないじゃないか」とデーヴィスを責め立てるが、そういった言葉をアストンには投げかけたこと無いんだろうなと感じた。ミックとアストンの仲が良いのかよく分からないなと思ったけれど、ミックがとにかくアストンを気にかけて大事に思っているんだな最後の方でわかった。建て替えた後にアストンと住むんだと理想を語る姿がとても輝いていて愛おしかった。ミックが誰よりも理想を語るのは、調子の良い性格がそうさせているのもあるけど、理想を語ることで現実から目を逸らしているのかなと思った。夢の中に生きているから、あんなにイキイキとしているのかも。

 

ミックの「お前臭いんだよ」が怖い。途中で「俺は臭いなんて言わない」と言っていた気がするけど、最後はやっぱり臭いと言っていて、ディーヴィスに何を言ったら効くのかがよく分かっていて聡明だなと思った。

しかしアストンもミックも、デーヴィスを泊まらせることはするのにお風呂は貸してあげないのかな?(お風呂壊れてるとか言ってたかしら…)(描かれていないだけでお風呂を貸しているのかもしれないけど)

住まいを提供するという行動をトリガーとしてアストンとミックに「デーヴィスに管理人になってもらう」というアイデアが生まれるわけだけど、2人ともそこしか見えていないというか…私利私欲のためにしか行動していないなと感じた。管理人になってもらうなら、なおさら綺麗になってもらった方が良い気がするけれど。アストンもミックも、理想はたくさん描くけど現実と結びつけられない人だよなと思った。

 

アストンとミックが意思疎通させることはほとんどないけれど、最後に2人が向き合い頷き合って気持ちを通わせるところがとても好き。

1回目観た時はこの頷き合いと、ミックがドアを閉めかけて開けて出ていく意味が分からなかった。けど、今回の観劇で、あの頷き合いは「「このおじさん…ちょっと嫌じゃない…?」」で、ミックのドアを開けるところは「出て行ってもらうなら開けておけばいいか」なのかなと思った。

デーヴィスのおかげで直接心を通わせることとなったアストンとミック……。仲良くやってくれ……。

 

キャラクターが発している言葉そのものよりも、その言葉を発した意図がより気になる舞台だなと思った。

最後のシーンでデーヴィスがアストンに向かって色々言うけれど、あれは今までのちょっとした失言を取り繕って必死に悪あがきをしているんだなと感じた。他のシーンの「今ここで言う意味は?」と思った言葉は、感情を隠すためだったり何かを取り繕うためだったり、言葉そのものよりも乗せられた感情に意味があるのかなと感じた。何度も観て、そのキャラクターが考えていることを観察したい。

 

ぱっと観に行くにはハードル高く感じそうな舞台だけれど、好きな役者さんのおかげでこうして観にいくことができて幸せです。まだ行ったことのない劇場に足を運べること、ひとつの作品について考えごとをすること、初めての役者さんの演技を観られること、どれを取っても幸せです。

木村達成さんの仕事の選び方が好きです。

 

おわり

舞台「管理人 THE CARETAKER」11/19マチネ公演を観劇しました

舞台「管理人 THE CARETAKER」11/19マチネ公演を観劇しました。

とってもよい時間だった……。こういう舞台好きです。

もくじです

 

舞台セット

まず、舞台セットがとても素敵。ああいう細かい造りのセット大好きです。ドアや窓が重厚な音を伴って開け締めできるタイプ。壁や床の造りも本当の部屋と遜色なく、部屋全体のサイズ感も小物のサイズ感も舞台用ではなく日常のままで、本当に部屋の一室をポコンと切り出してきたようでとても好きでした。壁の角度?が屋根裏部屋を彷彿とさせるのも好きでした。(屋根裏部屋とは言われてなかったよね?)

舞台の奥行きが狭いのも心地よい圧迫感があって好きでした。

実寸台の部屋に立つ3人は、等身大の人間でした。

紀伊國屋ホールという小さい劇場で上演される意味が少しわかったような気がしました。

 

舞台セットや小物で好きだったところ

  • 雨漏りのバケツがまさかの天井からぶら下がってる
  • なぜか買い物のカートがあるところ(片付ける時うるさくて最高だった)
  • 仏像!(戯曲読んだ時「なぜ急に」と思ってたけど観劇したら大事なアイテムだった!突然仏像が出てくるの想像よりもおもしろかった
  • 裸電球(オレンジの光があたたかい)

 

各登場人物の印象

デーヴィス

戯曲を読んだ時はどうしようもない言い訳ばかりの、自分のことばかりのお爺ちゃんだと思っていました。実際に観劇してもそうではあったけど話し方がとても楽しそうというか「こういうお爺ちゃん、いるいる!」って感じで…それ以上の語彙はないんだけど、とてもチャーミングで可愛がりたくなってしまうお爺ちゃんでした。

デーヴィスの話は嘘か本当か分からない、幻想や理想が多かった気がします。同じ話を何度もするところにも幻想的な印象を受けました。

戯曲を読んだ時に「なぜこんなに同じ話を何回もするんだ」と思ったけど、イッセーさんの「あ~思い出した」「そうだそうだ~」って雰囲気の演技があまりにも自然で何も気にならなかったです。あるよね~そういうこと~ってなった。

 

アストン

話し方が頼りなさそうで、内容もちょっとぼんやりしているアストン。でも服装はいちばんカッチリしているのが人物像とちぐはぐで、ちょっと不思議でした。

戯曲を読んだ時になぜアストンがこんなにもデーヴィスに優しいのか分からなかったけど、観劇してみて「デーヴィスに手を差し伸べることで生きる意味を見出している」のかなと感じました。デーヴィスを掬うためのように見えて、自分を掬うために必死にあの部屋にデーヴィスを繋ぎ止めていたように感じます。

アストンが過去を語るシーン、話していけばいくほど言葉が詰まっていって、頭に霧がかかっている様子が観ていて苦しかった。

アストンは物事の事実よりも感情や考えを話す事が多かった気がします。

 

ミック

声がよく通る、全体的に強いミック。戯曲を読んだ時、すごく怖くて常にイライラしている印象だったのですが……。こんなにおもしろい人だとは!

戯曲を読んで私が「怒り」と読み取った言葉の7割くらいが「煽り」だった。あんなコミカルで豊かな表情が乗るとは思っていませんでした。最高すぎる。デーヴィスに放った「で?」とかね。

そしてミックがこんなに可愛い&コミカルだと思っていなくて良い意味で裏切られてしまった。ずるい。でも怖いところはきちんと怖かった。

ミックは物事の事実をバーっとまくし立てていて、頭が切れるが故の長台詞だなと思いました。

 

人間が人間している舞台尊い

全員声と滑舌が良くて超絶長台詞でも全部聞き取れてすごかった。なにより、人間がただ人間しているところを観られたのがとても心地よかったです。

一行目に「全部聞き取れた」と書いたけどそれは嘘で、デーヴィスの最初の方のセリフは聞き取れなかったです。聞き取れなかったけど、観劇中に「あ、これはアストンも聞き取れていないだろうな、そういうモノだろうからまあいっか」と勝手に納得してしまいました。おそらく聞き取れていないであろうアストンも、聞き取れていない上でテキトーにやり過ごしているんだなと感じました。あの空間で観るからこそ、等身大の人間を観ているからこそ、登場人物と同じ目線で会話を聴く事ができるのかなと思いました。

「〇〇さんが演じる△△」ではなく「デーヴィス」「アストン」「ミック」とキャラクターをひとりの人間として違和感なく観られることが尊くて豊かで幸せなことだなぁと改めて感じられた舞台でした。

 

その他感想

あんなにみんなよく喋るのに、無音でやり取りする瞬間があるのが意外だった。取っ組み合いしてるときとか。それが本の中で「(間)」と表現されていた部分だったのかな?

 

各キャラクター、もっとダウナーな感じだと思っていたけど思いの外コミカルだった。会話自体は成り立っていない事があるけど、人との関わりを楽しんで生きている人たちの物語だなと思った

 

戯曲を読んだだけでは想像できていなかった箇所が沢山あったんだ、と観劇してはじめて気づいた。「演じるために描かれたもの」ではなく「実在した3人の日常を覗き見て文字に書き起こしたもの」だったんじゃないかと錯覚してしまうくらい、板の上で繰り広げられる演劇が等身大の人間だった。

 

その他好きなシーン

手の中で何かをいじらずにはいられないアストン。「手を使って仕事をする」ことにこだわるアストン……。ちょっと寂しそうで切ない…。直接的な会話はほぼなかったけど、そんなアストンを大事に思っているであろうミック…。

 

ミックが初めてデーヴィスと対面するシーン。だるまさんが転んだしてて可愛かった。冷静に考えてデーヴィスめっちゃ不審者。

 

誰も見てないときにケトルから水を直飲みするデーヴィス

 

カバンのドッジボール!全力すぎておもろい。ミックの最後のノールック投球とナイスキャッチなデーヴィス、お見事でした。しかもデーヴィスのカバンじゃないんかいっていうね。

 

タバコとかマッチとか靴のホコリとか、本当に火や煙が出ているのが好きでした。リアル…。

そういえばミックがデーヴィスの前でマッチ箱をチャカチャカやってた時、ぽろっと床に落ちていたけど、あれはハプニングだったのかな。

 

戯曲を読んだ時「春の大掃除」というセリフを見て「パン祭りじゃん」と思ったのですが、そこが思いのほか決め台詞っぽくて面白かったです。

暗がりでマッチ箱チャカチャカやってデーヴィスをからかってるのも可愛いし、全力で掃除機かけてるのも可愛いミック。そんなにいたずらっ子だとは、読んだときは想像できなかった。ずるいぞミック。

 

不条理劇っておもしろい

「不条理劇」という言葉を見た時、観劇後に嫌な気分になるものだと想像していました。救いようがなくどうしようもない状況にイライラいて苦しくなって、重苦しい気持ちを抱えて劇場から出るものだと思ってた。

管理人の戯曲を読んだ時、会話の成り立たなさや各キャラクターの置かれた状況から、キャラクターの怒りや憎しみや悲しみが色濃く表現される舞台なんだと想像しました。

でも、実際に観劇したら、人間のおかしみやおもしろみが感じられるシーンばかりで、観劇前に抱えていたイメージが全部ひっくり返りました。

その言葉はそういうニュアンスだったのか…!とか、その表情なのか…!とか、そんな軽い感じだったのか…!とか、驚きの連続でした。活字に血が通ってセリフとして身体から発せられるとこんなに印象が違うんだ~と観劇中ずっと楽しかったです。

 

3人の会話はすれ違っている時もあれば噛み合っているときもあって不思議な気持ちになりました。そしてあの3人が小さな部屋で話している光景にあたたかみを感じました。それは裸電球の光がオレンジだったからかもしれないけど……。

なぜあたたかみを感じたのかな~と考えたところ、あの3人の「お互いがお互いに程よく興味を持っていない」ところとか「相手の言葉をなんとなく聞いてるしなんとなく聞いてない」ところが家族の会話に似ているからかなと思いました。

これは我が家だけかもしれませんが、リビングに集まった時に「誰かが話して、誰かが相槌を打つ。でも全然聞いてないから『どう思う?』と最後に問われて誰も答えられなくて同じ話がもう一度始まる」とか「誰も興味がないであろうことを喋っても誰も咎めない、その場に居て聞いてくれる、でも内容は聞いてもらえない」とか、そんな会話ばかりです。

デーヴィスとアストンとミックの会話は、噛み合っているようで噛み合っていない。でも、相手が知らない話をしてもされても途中で遮ることはほとんどない。3人がお互いに興味がないから成立している気がするし、お互いを許しているから成立している気もする。何年もあの部屋で一緒に過ごしてきたような関係だなと思いました。

 

わからないところや、どういう意味?と思うところは何箇所もありました。

でも、よく考えれば私達が日常的にしている会話のうち何割に「意味」があるんだろう。特に目的もなくだらだらと会話を続けていることのほうが圧倒的に多い気がします。会話に「意味」なんてないし、ストーリーもドラマもない。

管理人の3人のシチュエーションは現実にはなかなか起こり得ないだろうけど、コミュニケーションの取り方は、親しみのあるただの日常の切り取りにすぎないのかなと思いました。3人とも、あの部屋でただ会話をしていた。それをただ観客が覗いていただけ。それだけな気がします。ただの日常にクスッと笑えるこの心の余裕、大事にしていきたいなと思いました。次の観劇では3人の心の機微も追いたいです。

 

しかしこの3人にはクスッと笑ってくれる観客が居るけれど、私たちの日常にクスッと笑ってくれる人はそうそう居ません。

ハロルド・ピンターが描いた「管理人」の世界より、私たちの日常のほうがよっぽど救いようのない不条理な世界なのではと思いました。

 

おわり